ウォッカといえば、無色透明でクセの少ないお酒をイメージする人も多いだろう。
しかし、ウォッカには果実やハーブ、スパイスなどの風味を加えた
「フレーバードウォッカ」もあり、その種類は多彩である。
なかには、意外な香りや個性的な色を持つ商品も存在する。
ここでは、ウォッカの種類を整理したうえで、
フレーバードウォッカの特徴や代表的なフレーバーを紹介する。
また、リキュールやジンとの違いなど、気になる疑問についても解説する。
●ウォッカにはどんな種類がある?

ウォッカは、風味の付け方によって大きく
「プレーンウォッカ」と「フレーバードウォッカ」に分けられる。
- プレーンウォッカ
原料由来の香りや味わいを除けば、比較的クセが少ないタイプである。
カクテルのベースとして幅広く使われるほか、
冷やしてそのまま飲まれることもある。 - フレーバードウォッカ
果実やハーブ、スパイスなどの風味を加えたタイプである。
レモンやオレンジといった定番の風味から、個性的な香りを持つものまで、
さまざまな商品がある。
なお、ウォッカの原料には穀物やジャガイモなどが使われるが、
原料による違いはフレーバーの分類とは別の観点である。
原料の種類や特徴については、
別記事「ウォッカは何から造られる?」で詳しく解説している。

●フレーバードウォッカとは?

フレーバードウォッカとは、果実やハーブ、スパイスなどの
風味を加えたウォッカのことである。
基本的には、プレーンウォッカをベースにして風味を付けるため、
使用する素材や製法によって香りや味わいに個性が生まれる。
風味を付ける方法は一様ではない。
香味のある素材を原酒に浸す方法や、香味成分を加える方法などがあり、
素材の特徴を生かしたものから、特定の香りを前面に出したものまで、
さまざまな商品がある。
また、フレーバードウォッカは無色透明とは限らない。
使用する素材や製法によって色が付く商品もあれば、
着色によって見た目に個性を持たせた商品もある。
ただし、フレーバーの種類と色は必ずしも結び付いているわけではなく、
同じ系統の風味でも色合いは商品によって異なる。
このように、フレーバードウォッカは香りや味わい、
色の組み合わせによって多様な個性を楽しめる。
●フレーバードウォッカの多彩な種類
フレーバードウォッカには、果実の爽やかな香りを生かしたものから、
ハーブやスパイスの個性的な風味を持つものまで、さまざまな種類がある。
ここでは、代表的なフレーバーを系統別に見ていこう。
・果実系のフレーバー

果実系は、フレーバードウォッカの代表的なタイプである。
レモンやライム、オレンジなどの柑橘類をはじめ、
ラズベリーやブルーベリーなどのベリー類を使ったものもある。
果実系は、素材の種類や香りの強さによって印象が大きく変わる。
カクテルに使う場合は、加える果汁やシロップとの
組み合わせによっても味わいを調整できる。
商品によっては果実の甘い香りを強調したものもあるが、
果実系だからといって必ずしも甘いとは限らない。
・ハーブ・スパイス系のフレーバー

ハーブ・スパイス系のフレーバードウォッカは、
植物の葉や茎、種子、根などに由来する香りを生かしたタイプである。
柑橘類のような爽やかさとは異なり、
草木を思わせる香りや、温かみのあるスパイシーな風味を楽しめる。
代表的な風味には、ペッパーやチリなどの香辛料、
ハーブの香りを生かしたものがある。
また、特定の植物を使った伝統的なウォッカも存在し、
地域の食文化と結び付いた商品も見られる。
こうしたタイプは、素材によって香りの印象が大きく異なる。
穏やかなハーブの香りを楽しめるものもあれば、
刺激的な辛さや強い個性を持つものもあるため、
フレーバーの特徴を確かめながら選ぶとよい。
・甘い香りや個性的なフレーバー

フレーバードウォッカには、
バニラやキャラメルのような甘い香りを持つものもある。
デザートを思わせる風味が特徴で、カクテルに使うと香りに変化を加えられる。
ただし、甘い香りがするからといって、
必ずしも糖分が多く含まれているわけではない。
さらに、一般的な果実やハーブとは異なる独特なフレーバーの商品も存在する。
たとえば、ベーコンの風味を付けたウォッカは、
肉の香ばしさを思わせる個性的な例である。
こうした商品は、定番のウォッカとは異なる楽しみ方を提案している。
フレーバードウォッカの種類は、果実や植物の風味だけに限られない。
意外な素材を使った商品もあり、
どのような風味が商品化されているかを知ることも、
このジャンルの面白さのひとつである。
●フレーバードウォッカにまつわる素朴な疑問
世の中にはフレーバードウォッカに似たお酒がある。
リキュールやジンとは何が違うのか、疑問を解決しよう。
・フレーバードウォッカとリキュールの違いは?

フレーバードウォッカとリキュールは、
どちらも香りや味わいを付けたお酒であり、
見た目や風味だけでは区別しにくい場合がある。
リキュールにはウォッカをベースにした商品もあるため、
原料だけで分類できるわけではない。
両者を区別する基準のひとつが、糖分の量である。
EU規則では、フレーバードウォッカはアルコール度数37.5%以上とされ、
糖分を加える場合も、
最終製品1Lあたりの糖分が転化糖換算で100g未満でなければならない。
一方、リキュールは原則として、
最終製品1Lあたりの糖分が転化糖換算で100g以上で、
アルコール度数は15%以上とされている。
ただし、リキュールには糖分量の例外規定もある。
| フレーバードウォッカ | リキュール | |
|---|---|---|
| 基本的な定義 | ウォッカに原料由来とは 異なる主要な風味を付けたもの | 農産物由来のアルコールなどをベースに、 甘味を加え、風味付けしたもの |
| 最低アルコール度数 | 37.5% | 15% |
| 糖分 | 加糖できる。 転化糖換算で1L当たり 100g未満 | 原則として転化糖換算で1L当たり 100g以上(一部例外あり) |
| 着色 | 可能 | 可能 |
このように、EU規則では糖分量が分類の重要な基準となっている。
ただし、糖分量だけで必ず分類が決まるわけではなく、
アルコール度数や原料、製法などの要件も関係する。
また、着色されているかどうかは、両者を区別する決め手にはならない。
フレーバードウォッカは、ウォッカらしいアルコールの強さを保ちながら、
果実やハーブなどの香りを楽しむタイプが中心である。
一方、リキュールは甘味を特徴とする商品が多く、
カクテルの材料として使われるほか、そのまま楽しめるものもある。
実際に商品を選ぶ際は、名称だけでなく、
アルコール度数や糖分、味わいの特徴も確認するとよい。
・ジュニパー風味のウォッカはジンとは違う?

ジンの特徴といえば、ジュニパーベリー(杜松[ネズ]の実)に由来する、
松や柑橘を思わせる香りである。
一方、ウォッカにもジュニパーの風味を付けた商品が存在する。
では、ジュニパー風味のフレーバードウォッカとジンは何が違うのだろうか。
両者を区別するポイントは、ジュニパーの風味がある。
EU規則でジンは農業由来のエチルアルコールに
ジュニパーベリーで風味を付けたもので、
ジュニパーの風味が主体であることなどが要件とされている。
つまりプレーンウォッカをベースにしても良いのである。
さらに、ジンのアルコール度数は37.5%以上でなければならない。
一方、ジュニパー風味のウォッカは、
ウォッカをベースにジュニパーの風味を加えた商品である。
フレーバードウォッカの度数は37.5%以上でなければならず、ジンと同様である。
ジュニパーを使っていても、製法や酒類の定義上の要件によってはジンではなく、
フレーバードウォッカとして扱われる。
| ジュニパー風味の フレーバードウォッカ | ジン | |
|---|---|---|
| ベースとなるアルコール | ウォッカ | 農産物由来のアルコール |
| 最低アルコール度数 | 37.5% | 37.5% |
| 風味の条件 | 原料由来の風味とは異なる風味が主体 | ジュニパーの風味が主体 |
| EU共通の最低税率※ | 純アルコール1hL当たり550ユーロ | 純アルコール1hL当たり550ユーロ |
各加盟国は独自により高い税率を設定できるため、
実際に販売される商品の酒税負担がすべての国で同じというわけではない。
EU規則ではジンの風味条件として「ジュニパー主体」であることが挙げられている。
ここがジンとジュニパー風味のフレーバードウォッカの分かれ目である。
風味は数値基準ではなく官能基準であるため、明確な区別は難しいが、
ジンに限りなく近いジュニパー風味のフレーバードウォッカは可能なのである。
わざわざジュニパーの風味のフレーバードウォッカを開発するのは、
主にブランド戦略だと考えられる。
フレーバードウォッカに多数のラインナップ揃えていることはよくある。
その中の一つとしてジンとは似て非なるものとして、
ジュニパー風味を打ち出すのはユニークでもある。
●まとめ
ウォッカには、クリアなの風味のプレーンウォッカだけでなく、
果実やハーブ、スパイスなどの風味を加えたフレーバードウォッカもある。
香りや味わいだけでなく、色にも個性があり、
定番からユニークなものまで多彩な商品が展開されている。
今回紹介したポイントを整理すると、次のとおりである。
- プレーンウォッカとフレーバードウォッカに大別できる
- フレーバードウォッカには、果実系、ハーブ・スパイス系、
甘い香りや個性的な風味を持つものなどがある - フレーバードウォッカとリキュールは、原料や見た目だけでは区別できず、
糖分量やアルコール度数、製法などが分類に関係する - ジュニパー風味のフレーバードウォッカとジンの違いは、官能的な風味にある
フレーバードウォッカは、風味の選択肢が豊富で、
カクテルのアレンジにも活用できる。
プレーンウォッカとの違いや各フレーバーの特徴を知ることで、
ウォッカの新たな楽しみ方を発見できるだろう。
●あとがき
バーなどで同じブランドのフレーバードウォッカが並んでいることがある。
一通り試したくなるのが、1ショットだと多いので、ハーフショットでお願いする。
お酒は飲んで試すことで、好みのものに巡り合える。
フレーバードウォッカからウォッカに興味を持つのもアリだろう。

