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ジンの定義と種類『わかりやすく解説』

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文字数:約1700文字

 ジンは蒸留酒(スピリッツ)のなかでも、独特の香りを持つ。
この香りはジュニパーベリー(西洋杜松(セイヨウネズ)の実)に由来する。
どのようなものがジンと呼ばれるのか、さらにどのような種類があるのか見てみよう。

ジュニパーベリー
Hans BijstraによるPixabayからの画像

ジンの定義

 日本ではお酒の定義を示したものとして酒税法がある。
しかし酒税法ではジンの定義を示していない。

 ジンの定義は、ジンの本場であるヨーロッパで規定されている。
他にもアメリカやカナダなどの国でも同様に規定されている。
2008年に更新されたEUでの定義がよく知られている。

 ジンは、蒸留アルコールでボタニカル(草根木皮)から成分を抽出した蒸留酒で、ジュニパーベリーの香りがメインであること、とされている。

 ジンの分類は、ジン、蒸留ジン、ロンドンドライジンの3つである。

ジンの種類

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 EU法で分類されたものをそれぞれ説明しよう。

◆ジン(Gin)

 蒸留アルコールでボタニカルから成分を抽出した蒸留酒で、
ジュニパーベリーの香りがメインであるもの。
蒸留アルコールは、中性アルコールやニュートラルスピリッツとも呼ばれている。
アルコール度数は37.5%以上(アメリカでは40%以上)でなければならない。

 ザックリ言えば、ジュニパーの香りがする37.5%以上の蒸留酒はジンと呼べる。
人口・天然に関わらず、香り付け、着色、加糖などの添加が可能である。
かなりユルイが、自由度が高いともいえる。

ジントニック
sgroeneによるPixabayからの画像

 ジュネヴァやシュタインヘーガー、コンパウンドジン、スロージンはこのカテゴリーに含まれる。

・ジュネヴァ(JeneverGenever)

 主にオランダとベルギーで造られるジンの原形となった蒸留酒。
モルトワイン(穀物を蒸留したアルコール)を使って、ボタニカルから成分抽出する。
モルトワインのまろやかな風味が特徴。
加糖や着色、熟成するものもある。

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・シュタインヘーガー(Steinhäger)

 ドイツで造られるジュニパースピリッツ
ジュニパーベリーの発酵液を蒸留したものと、穀物のスピリッツをブレンドして造られる。
ジュネヴァから派生したジンとは、原料は同じだが、プロセスが違う。

・コンパウンド・ジン(Compound Gin)

バスタブ
PDImageによるPixabayからの画像

 ボタニカルを蒸留アルコールに浸漬し、成分抽出したもの。
再蒸留をせず、最もシンプルな製造方法で造られるジン。
昔、バスタブに蒸留アルコールで満たし、ボタニカルを浸漬して造られたことから、
バスタブジンとも呼ばれる。

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・スロー・ジン(Sloe Gin)

 スローベリーというスモモをジンに浸け込んで造るお酒。
梅酒のようなもので、スローベリーの成分が抽出され、ほんのり赤く、甘味がつく。
アルコール度数が37.5%以下のものもスロー・ジンと呼ばれている。
定義が制定される前からの名残りだろうか。

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◆蒸留ジン(Distilled Gin)

 蒸留アルコールを再蒸留して造るジン。
蒸留アルコールにボタニカルを浸漬したものを再蒸留するか、
蒸留アルコールを再蒸留した蒸気で、ボタニカルから成分を抽出するか、しなければならない。
再蒸留後は、人口・天然に関わらず、香り付け、着色、加糖などの添加が可能。

・オールド・トム・ジン(Old Tom Gin)

オールドトムジン
👀 Mabel Amber, who will one dayによるPixabayからの画像

 明確な定義はないが、砂糖や甘味料を加えて、甘くしたもの

 オールドトム・ジンは猫と関係があり、話は18世紀に遡る。
イギリス中に広まっていた粗悪なジンが規制される中、密造が横行していた。
密売店の目印として、年老いた黒い雄猫(トムキャット:雄猫の英国での愛称)の看板が掲げられていた。
密造酒は粗悪さをごまかすために、香味や甘味を強めていたのである。
このことから甘味を加えたジンはオールドトム・ジンと呼ばれていた。

 現在で製造技術の進歩により、品質の高いジンが造られている。
これを機に、甘口に対して通常のジンはドライ(辛口)と呼ばれるようになり、ドライ・ジンが現在の主流となっている。

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◆ロンドン・ドライ・ジン(London Dry Gin)

 再蒸留については蒸留ジンと同様。
再蒸留後のアルコール度数は70%であることと、香り付け、着色は不可
加糖は1Lあたり0.1gを越えてならない
ロンドンと付いているが、原産地表示ではないのでどこででも造ることができる

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●あとがき

 ジンの定義がユルイことが、参入障壁が低く、様々な造り手が参加できる要因だろう。
バックグラウンドの違う造り手が参加することで、多様性が生まれ、面白いジンができる。
現在のジンブームで、ジンの可能性が大きく広がることに期待したい。

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