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お酒を飲むとすぐに酔ってしまう人や、全く飲めない下戸もいれば、酒豪、酒仙と呼ばれる人もいる。
お酒の強さはどのようにして決まるのだろうか。
その大きな要因は遺伝だとされている。
アルコールへの耐性について詳しく説明する。
●都道府県別 アルコールに対する強さランキング
元筑波大学の原田勝二教授がアセトアルデヒドを分解する酵素の強い型の出現率を、全国5000人以上から調査した結果を都道府県ランキングにまとめたのが以下である。
お酒に強い順位 | 都道府県 | 出現率[%] |
---|---|---|
1 | 秋田 | 76.7 |
2 | 岩手、鹿児島 | 71.4 |
4 | 福島 | 70.4 |
5 | 埼玉 | 65.4 |
6 | 山形 | 65.1 |
7 | 北海道、沖縄 | 64.8 |
9 | 熊本 | 64.3 |
10 | 高知 | 64.0 |
11 | 千葉 | 63.4 |
12 | 青森、宮城 | 63.2 |
14 | 新潟 | 62.4 |
15 | 神奈川 | 61.9 |
16 | 香川 | 61.6 |
17 | 大分、宮崎 | 60.2 |
19 | 東京 | 60.0 |
20 | 栃木 | 59.8 |
21 | 茨城、山梨 | 59.3 |
23 | 長野、福井、鳥取、島根、愛媛 | 58.5 |
28 | 兵庫、福岡 | 57.8 |
30 | 静岡 | 57.2 |
31 | 山口、佐賀、長崎 | 56.3 |
34 | 徳島 | 56.0 |
35 | 滋賀 | 55.8 |
36 | 京都 | 55.5 |
37 | 群馬、富山 | 54.8 |
39 | 岡山 | 53.8 |
40 | 奈良 | 53.3 |
41 | 大阪 | 53.0 |
42 | 広島 | 52.4 |
43 | 和歌山 | 49.7 |
44 | 岐阜 | 47.6 |
45 | 石川 | 45.7 |
46 | 愛知 | 41.4 |
47 | 三重 | 39.7 |
さらに数値をグラフ化したものが以下である。

秋田がダントツで、岩手、鹿児島、福島までがアルコール分解の強い遺伝子出現率70%越え。
東北地方が強い遺伝子を多く持っていることがわかる。
出現率が50%より低いのは和歌山、岐阜、石川、愛知、三重の5県。
日本人の約半数がアルコール分解に適さない遺伝子を持っているといわれている。
●アルコール分解の仕組み
体内でアルコールを分解する酵素は、
アルコールを分解する酵素とアセトアルデヒドを分解する酵素である。
さらにアセトアルデヒドを分解する酵素は下記の2種類ある。
- ALDH1型
血中アセトアルデヒド濃度が高くなってから作用が始まり、
ゆっくり分解する酵素 - ALDH2型
血中アセトアルデヒド濃度が低い時点から作用する強力な酵素
お酒が強い人と弱い人の差は、このALDH2型の酵素の活性遺伝子の型によるといわれている。
以下が日本人のお酒の耐性比率である。
- NN型:お酒に強い 56%
- ND型:普通 40%
- DD型:ほとんど飲めない 4%
ただし、活性遺伝子の有無以外にも、お酒に対する慣れ、年齢などで耐性変わってくる。
活性遺伝子はあくまでも一つの要因であることを覚えておこう。
最近は遺伝子検査がとても簡単に、安価でできるので、試してみるのもアリだろう。
自分自身の体を知っておくことは、いろいろと備えができる。
また、自分自身だけでなく、一緒に飲むパートナーも検査しておけば安心である。
遺伝子検査はお酒を飲む席でのネタにも使えそうだ。



●人種によるアルコール耐性
欧米人のほとんどが遺伝的にお酒に強い(上記のNN型)ほうに分類されるといわれている。
お酒に強い遺伝子の出現率は以下の通りである。
遺伝子型 | 黒人 | 白人 | 黄色人種 (日本人含む) |
---|---|---|---|
NN型 (お酒に強い) | 100% | 100% | 56% |
ND型 (普通) | 0% | 0% | 40% |
DD型 (お酒に弱い) | 0% | 0% | 4% |
とはいえ、何世代にも渡って遺伝子の交配が繰り返させれてきたため、
欧米人の中にもお酒に弱い人はいる。
さらにこれからも遺伝子の交配は続くだろう。
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●あとがき
以前、海外で欧米人とお酒を飲んだ時に、全然酔わないことに驚いたことがある。
しかし、別の場で欧米人が酔いつぶれているのも見たことがある。
結局はどれだけお酒に強くても、アルコール分解能力が優れていても、限界はあるということだ。
その時の体調だったり、飲み方だったり、ペースだったりで酔い具合は変わる。
あまり考え過ぎず、自分自身を知って、楽しく美味しく飲めれば良いのである。
