日本酒の分類【ろ過】

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 酒瓶によく「無濾過」などと書かれたラベルが貼られている。
これがどのようなものかについて、説明する。

 日本酒は上槽(搾り)後、おり引きとろ過という作業が行われており、ろ過と無濾過に分類される。

ろ過説明図

●澱引き(おりひき)

 上槽(搾り)によって得られた清酒は、澱(おり)と呼ばれる固形物が混ざっており、白く濁っている。
この固形物を取り除くため、数日間静置して澱を沈め、上澄みだけを取り出す

 残った澱を含んだ部分は『おりがらみ』として商品にする。
澱にはお米のうま味や香りが残っているため、濃厚な風味が味わえる。
おりがらみは、「うすにごり」、「ささにごり」、「かすみ酒」とも呼ばれる。

●ろ過

ろ過水
PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像

 澱引きされたものには、まだ細かい固形物(お米の破片や酵母のカス)や微生物が残っている。
ここに醸造用活性炭素(粉末)を投入し、固形物を吸着させて、フィルターでろ過する。
活性炭素には日本酒の異臭や雑味とともに、香味成分も吸着されてしまう。

 このため、本来の味わいよりもすっきりすることになる。
また、活性炭素を入れ過ぎると日本酒に炭の匂いが移ってしまい、炭臭が出てしまうことがある。

 澱引きされたものをろ過しないことで、本来の味わいを残したのものが
無濾過(むろか)と呼ばれるものである。

 無濾過は、活性炭素を使わずにフィルターを通した素ろ過(すろか)と、
ろ過自体を行わない完全無濾過があるが、区別されて表示されることはほとんどない。

●SF(Super Fine)フィルター

ろ過水
Arek SochaによるPixabayからの画像

 ろ過技術の発達により、『精密ろ過』と呼ばれる方法が主流になりつつある。
内部が空洞の中空糸繊維でできたフィルターを通すことで、一度に澱引きとろ過を行える方法である。
活性炭素を使わないことでしっかり風味も残り、雑菌や微生物も除去できる

 殺菌のための火入れを1回減らすことが可能になる。
よって、新鮮な風味を持つお酒を造ることができる。

●あとがき

 最近は飲食の分野で、素材本来の味を楽しむという傾向が強まっているようだ。
日本酒でも無濾過や純米に人気が集まっている。
悪いことではないが、醸造アルコール添加やろ過することの良さもある。
なにごとも一点に偏り過ぎるのは良くない。




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