鮮やかな赤色と独特の苦味で知られるカンパリ。
ネグローニやスプモーニなど、多くの人気カクテルに使われる
イタリア生まれのビターリキュールである。
しかし、「どんな味なのか」「なぜ苦いのか」
「どう飲むのがおすすめなのか」と疑問に思う人も多いのではないだろうか。
ここではカンパリの特徴や歴史、製法、代表的な飲み方を解説する。
アペロールとの違いや人気カクテルとの関係についても紹介する。

●カンパリとは?
カンパリは、1860年にイタリアのノヴァーラで誕生したビターリキュールである。
ハーブやスパイス、果実などを原料とし、
鮮やかな赤色と独特の苦味を特徴としている。
イタリアでは食前酒(アペリティーボ)の代表的な存在として親しまれており、
食事前に飲むことで食欲を刺激するとされる。
現在では世界190カ国以上で販売され、
イタリアを代表するリキュールブランドのひとつとなっている。
カンパリはそのまま飲まれることもあるが、炭酸水で割るカンパリソーダや、
グレープフルーツジュースを合わせるスプモーニ、
ジンとベルモットを組み合わせるネグローニなど、
多くのカクテルのベースとしても知られている。
カンパリのレシピの詳細は現在も非公開であり、
原料や配合は厳重に管理されている。
こうした秘伝の製法も、カンパリが長年にわたり
世界中で愛され続ける理由のひとつとなっている。
●カンパリの特徴
カンパリは鮮やかな赤色と独特の苦味を持つビターリキュールである。
その個性的な味わいから、世界中のバーで愛されている。
ここではカンパリの主な特徴を紹介する。
・鮮やかな赤色と苦味が特徴

カンパリ最大の特徴は、鮮やかな赤色と独特の苦味にある。
味わいは甘味よりも苦味が主体で、ハーブやスパイス、
柑橘類を思わせる複雑な香りが広がる。
苦味の中にもほのかな甘味があり、単調ではない奥行きのある味わいを楽しめる。
この個性的な風味から、ストレートやロックで飲まれるだけでなく、
炭酸水やジュースと合わせるカクテルベースとしても高く評価されている。
なお、カンパリの鮮やかな赤色はブランドの象徴として広く知られている。
かつては天然由来の着色料が使用されていたが、
現在は別の方法で色付けが行われている。
・アペリティーボを代表するビターリキュール

カンパリはイタリアのアペリティーボ文化を代表するリキュールのひとつである。
アペリティーボとは、食事の前に軽くお酒を楽しみながら食欲を高める習慣のこと。
イタリアでは夕方になるとバールやカフェで、
カンパリソーダやカンパリスプリッツを楽しむ光景が見られる。
こうした文化の中で育まれたカンパリは、単なるリキュールではなく、
イタリアの食文化を象徴する存在ともいえる。
現在では、カンパリはイタリアだけでなく世界中で親しまれており、
ネグローニやアメリカーノをはじめとする数多くのカクテルに欠かせない材料となっている。
●カンパリの歴史
カンパリの歴史は、創業者ガスパーレ・カンパリが
19世紀のイタリアで生み出した一杯のリキュールから始まった。
現在では世界を代表するビターリキュールとなっているが、
その発展には創業者とその息子の功績が大きく関わっている。
・ガスパーレ・カンパリによる誕生

カンパリの創業者ガスパーレ・カンパリは、1828年にイタリア北部で生まれた。
若い頃から酒場やカフェで働きながら、自家製リキュールの研究を続け、
数十種類ものレシピを考案したとされる。
その経験をもとに1860年、ノヴァーラで
「Bitter All’uso d’Hollandia(オランダ風ビター)」を完成させる。
このリキュールは後に創業者の姓を冠した「カンパリ」として知られるようになり、
ブランドの原点となった。
ハーブやスパイス、果実を組み合わせたレシピは当時から高く評価され、
鮮やかな赤色と個性的な苦味によって多くの人々を魅了した。
・ダヴィデ・カンパリによる発展

創業者の息子であるダヴィデ・カンパリは、
ブランドの発展に大きく貢献した人物として知られる。
1904年にはミラノ近郊のセスト・サン・ジョヴァンニに生産拠点を設立し、
安定した供給体制を整えた。
また、積極的な広告戦略や海外展開を進めたことで、
カンパリはイタリア国内だけでなく国外でも知られるようになっていく。
今日のカンパリブランドの礎を築いたのは、創業者ガスパーレだけでなく、
事業家としての才能を発揮したダヴィデの存在も大きかった。
・世界的ブランドへの成長

20世紀に入るとカンパリはヨーロッパ各国やアメリカへ進出し、
世界的なブランドへと成長した。
また、ネグローニやアメリカーノなどの人気カクテルが
世界中のバーで提供されるようになったことで、
カンパリの知名度はさらに高まった。
現在では世界190カ国以上で販売されており、
イタリアを代表するビターリキュールとして多くの人に親しまれている。
また、カンパリは酒類ブランドとしてだけでなく、
映画祭や芸術分野への協賛活動でも知られており、
カンヌ国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭などのスポンサー活動が有名。
●カンパリの製法

カンパリのレシピは現在も非公開とされており、
使用される原料や配合の詳細は明らかにされていない。
一般的にはハーブやスパイス、
果実などをアルコールに浸漬して香味成分を抽出し、
それらをブレンドして造られるビターリキュールとされている。
原料の種類についても諸説あるが、正確な内容は公表されていない。
こうした秘伝のレシピは創業者ガスパーレ・カンパリの時代から受け継がれており、
ブランドを象徴する特徴のひとつとなっている。
また、カンパリの鮮やかな赤色も大きな特徴である。
かつてのカンパリには、コチニールと呼ばれる昆虫由来の天然色素が使用されていた。
コチニールはサボテンに寄生するエンジムシから抽出される赤色の色素で、
古くから食品や飲料の着色に利用されてきた。
しかしカンパリは2006年にレシピを変更し、コチニールの使用を終了した。
日本でも2007年以降に販売された製品から順次切り替えられている。
現在は複数の着色料を組み合わせて色味を再現しているとされる。
この変更により、現在のカンパリは以前と比べてやや落ち着いた赤色になったと
指摘されることもある。
一部では、コチニール使用時代の色をRAL 3020、
現在の色をRAL 3002に近い色調とする分析もある。
この変更はベジタリアンやヴィーガンへの配慮なども理由の一つとされている。
原料や配合を公開しないことで、
カンパリならではの複雑な苦味と香りは守られている。
世界中で親しまれる独特の味わいは、
160年以上にわたり受け継がれてきた秘伝のレシピによって
支えられているのである。
●カンパリの飲み方
カンパリは独特の苦味を持つことから、そのまま飲むだけでなく、
炭酸割りやカクテル、シェイクなどさまざまな方法で楽しまれている。
ここでは代表的な飲み方を紹介する。
・カンパリソーダ

カンパリを炭酸水で割るシンプルな飲み方。
カンパリの苦味や香りを爽やかに楽しめるため、
イタリアではアペリティーボの定番として親しまれている。
甘さが控えめで、食事前の一杯にも適している。
・カンパリシェカラート

カンパリを氷とともにシェイクして作るシンプルなカクテル。
材料はカンパリのみだが、シェイクによって空気が含まれ、
口当たりが柔らかくなる。
冷却によって苦味や甘味のバランスも整い、
カンパリ本来の味わいを楽しめる飲み方として知られている。
イタリアのバールでも親しまれており、
近年はカンパリのブランドサイトでも代表的なサーブとして紹介されている。
・スプモーニ

カンパリにグレープフルーツジュースとトニックウォーターを加えたカクテル。
グレープフルーツの爽やかな酸味と、
トニックウォーターのほのかな苦味が加わることで、
カンパリ初心者でも飲みやすい味わいとなる。
日本でも知名度の高いカンパリカクテルのひとつである。
・ネグローニ

カンパリ、ジン、スイートベルモットを同量で合わせるクラシックカクテル。
カンパリの苦味とベルモットの甘味、ジンのボタニカルな香りが調和し、
世界中のバーで愛されている。
近年は世界的な人気の高まりから、定番カクテルとして再評価されている。
ネグローニについては、以下の記事で詳しく解説している。

・アメリカーノ

カンパリとスイートベルモットを炭酸水で割るカクテル。
ネグローニの原型ともいわれ、アルコール度数は比較的控えめで飲みやすい。
カンパリらしい苦味を残しながらも軽やかな味わいを楽しめる。
●カンパリとアペロールの違い

カンパリとアペロールはどちらもイタリア生まれのビターリキュールであり、
鮮やかな色合いから混同されることも少なくない。
しかし、味わいやアルコール度数、代表的な飲み方には違いがある。
| 項目 | カンパリ | アペロール |
|---|---|---|
| 誕生年 | 1860年 | 1919年 |
| 発祥地 | イタリア北西部 ノヴァーラ | イタリア北東部 パドヴァ |
| 度 数 | 25%前後 | 11% |
| 色 | 赤色 | オレンジ色 |
| 味わい | 苦味が強く複雑 | 甘味があり軽やか |
| 主な用途 | ネグローニ、アメリカーノなど | アペロールスプリッツなど |
| 飲みやすさ | 上級者向け | 初心者向け |
カンパリは力強い苦味と複雑な香味が特徴で、
クラシックカクテルのベースとして広く使われている。
一方のアペロールはアルコール度数が低く、
オレンジを思わせる親しみやすい味わいから、
食前酒として人気を集めている。
どちらもイタリアのアペリティーボ文化を代表するリキュールだが、
しっかりとした苦味を楽しみたいならカンパリ、
軽やかで飲みやすい味わいを求めるならアペロールがおすすめ。
なお、カンパリとアペロールは現在どちらもカンパリグループのブランドである。
味わいや用途は異なるが、競合商品というよりは、
それぞれ異なる魅力を持つビターリキュールとして展開されている。
●まとめ

カンパリは1860年に誕生したイタリアを代表するビターリキュールである。
鮮やかな赤色と独特の苦味を特徴とし、現在では世界中で親しまれている。
レシピは現在も非公開であり、ハーブやスパイス、
果実などによる複雑な味わいが魅力である。
また、ネグローニやスプモーニ、アメリカーノなど、
多くの人気カクテルに欠かせない存在でもある。
アペロールと並びイタリアのアペリティーボ文化を象徴するリキュールとして、
カンパリは160年以上にわたり愛され続けてきた。
苦味の奥にある深い味わいを、ぜひ一度体験してみてほしい。
●あとがき
鮮やかな深紅のお酒として、カンパリは世界中で愛飲されている。
赤いお酒でビター(苦味)なのが素晴らしい。
ストロベリーリキュールは甘味と酸味、赤ワインは渋味。
赤い飲み物の印象として、甘みやフルーティが挙げられるが、
カンパリの苦味というのはかなり特徴的である。
見た目の華やかさと苦味のギャップが世界中のお酒好きを虜にする。

