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図解■ 人気カクテルランキング【世界】

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文字数:約3500文字

 世界には数多くのカクテルが存在する。
そのなかで、人気のカクテルは何なのか気になる人もいるだろう。

 イギリスの酒類調査会社DRINKS INTERNATIONALが、
毎年カクテルランキングTOP50を発表している。
この調査は、世界の有名バー100店に、
お店の人気カクテルTOP10を聞き取り、まとめたものである。
地域差はあるだろうが、統計的にも面白いデータである。

 このデータを基に、世界の人気カクテル、ベース別、ランキング推移をまとめた。
推移から現代のトレンドを読み取ることができる。

カクテル
Bespirituosas BespirituosasによるPixabayからの画像

クラシック・カクテル・ランキングTOP50

 2023年に公表された、2022年の人気カクテルランキングTOP50を見てみよう。

  1. ネグローニ
  2. オールド・ファッションド
  3. マルガリータ
  4. エスプレッソ・マティーニ
  5. ダイキリ
  6. ドライ・マティーニ
  7. ウイスキー・サワー
  8. マンハッタン
  9. アペロール・スプリッツ
  10. ペニシリン
  11. モスコー・ミュール
  12. ピスコ・サワー
  13. パロマ
  14. ブラッディ・メアリー
  15. フレンチ75
  16. モヒート
  17. ラスト・ワード
  18. ブールヴァルディエ
  19. マイ・タイ
  20. アメリカーノ
  21. ギムレット
  22. クローバー・クラブ
  23. アマレット・サワー
  24. ジャングル・バード
  25. ジン・フィズ
  26. サゼラック
  27. ピニャ・コラーダ
  28. コープス・リバイバー
  29. ゾンビ
  30. ビーズ・ニーズ
  31. ダーク・アンド・ストーミー
  32. ポルノスター・マティーニ
  33. ジン・バジル・スマッシュ
  34. ネイキッド・アンド・フェイマス
  35. メスカル・マルガリータ
  36. ウォッカ・マティーニ
  37. ヴェスパー
  38. ペインキラー
  39. ヴィーカレ
  40. コスモポリタン
  41. ブランブル
  42. サイドカー
  43. アヴィエーション
  44. オールド・キューバン
  45. カイピリーニャ
  46. アーミー・アンド・ネイビー
  47. ラム・オールド・ファッションド
  48. ハンキー・パンキー
  49. サウスサイド
  50. エア・メール

 2022年に世界で最も人気のあったカクテルは『ネグローニ』である。
これまでは『オールド・ファッションド』が1位だったが、
2021年にネグローニが首位となり、2年連続のTOPを飾った。

 2位のオールド・ファッションドは、2022年に首位に返り咲くことはできなかったが、
人気の高さは健在である。

 3位の『マルガリータ』はショートカクテルではトップである。
4位エスプレッソ・マティーニ、5位ダイキリ、6位ドライ・マティーニ、
7位ウイスキー・サワー、8位マンハッタン、
3~8位までショートカクテルが続く。

 9位にアペロール・スプリッツァ、10位にペニシリン、11位モスコー・ミュール、
12位ピスコ・サワー、13位パロマ、14位ブラッディ・メアリー、
9~14位まではロングカクテルである。

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 日本ではあまり馴染みのないカクテルもランクインしている。
いくつか簡単に紹介しよう。

 10位のペニシリンは、2005年にニューヨークで誕生した。
ウイスキーベースにハニーシロップとレモン果汁を加えてシェークする。
クラシックというにはまだ日が浅いが、どんどん人気が増してきている、
モダン・クラシック・カクテルである。

 17位のラスト・ワードは、1925年に誕生したといわれているが、
ほとんど忘れ去られていたカクテルである。
ジン、シャルトリューズ、ライムジュース、マラスキーノを同量混ぜる。
復活したのは最近であり、ランキングには2020年29位、21年37位、22年43位。
少しずつ認知度が上がってきている。

 18位のブールヴァルディエは、1930年前後に考案された。
ウイスキーをベースに、スイート・ベルモット、カンパリをステアする。
1位のネグローニはジンベースだが、ブールヴァルディエはウイスキーベースである。

 22位のクローバー・クラブは、1900~1908年の間に誕生したといわれる。
ジンベースでライムジュース、グレナデン・シロップ、卵白をシェークする。
なめらな飲み口で、毎年ランクインし、根強い人気がある。

 24位のジャングル・バードは、1973年にマレーシアで誕生した。
ラムをベースに、カンパリ、パイナップルジュース、ライムジュース、シガーシロップで作る。
スッキリとした中に苦味があるトロピカル・カクテルである。

・ベース別ランキング

 TOP50をベース別に分けると以下のようになる。

カクテルベース別グラフ

 ジンベースのカクテルが30%を占めており、最も多い。
次いで、サトウキビ由来のラムとカシャッサが合わせて24%で約1/4を占める。
ウイスキー14%、ウォッカ12%、テキーラとメスカル合わせて8%、
ブランデーとピスコ合わせて4%である。

・ジンベース

 ジンベースのカクテルランキングは以下のとおりである。
()内は全体の順位である。

  1. (1)  ネグローニ
  2. (6)  ドライ・マティーニ
  3. (15) フレンチ75
  4. (17) ラスト・ワード
  5. (21) ギムレット
  6. (22) クローバー・クラブ
  7. (25) ジン・フィズ
  8. (30) ビーズ・ニーズ
  9. (33) ジン・バジル・スマッシュ
  10. (37) ヴェスパー
  11. (41) ブランブル
  12. (43) アヴィエーション
  13. (46) アーミー・アンド・ネイビー
  14. (48) ハンキー・パンキー
  15. (49) サウスサイド

・ラム・カシャッサベース

 ラムとカシャッサベースのカクテルランキングは以下のとおりである。
()内は全体の順位である。

  1. (5)  ダイキリ
  2. (16) モヒート
  3. (19) マイ・タイ
  4. (24) ジャングル・バード
  5. (27) ピニャ・コラーダ
  6. (29) ゾンビ
  7. (31) ダーク・アンド・ストーミー
  8. (38) ペインキラー
  9. (44) オールド・キューバン
  10. (45) カイピリーニャ
  11. (47) ラム・オールド・ファッションド
  12. (50) エア・メール

・ウイスキーベース

 ウイスキーベースのカクテルランキングは以下のとおりである。
()内は全体の順位である。

  1. (2)  オールド・ファッションド
  2. (7)  ウイスキー・サワー
  3. (8)  マンハッタン
  4. (10) ペニシリン
  5. (18) ブールヴァルディエ
  6. (26) サゼラック
  7. (39) ヴィーカレ

・ウォッカベース

 ウォッカベースのカクテルランキングは以下のとおりである。
()内は全体の順位である。

  1. (4)  エスプレッソ・マティーニ
  2. (11) モスコー・ミュール
  3. (14) ブラッディ・メアリー
  4. (32) ポルノスター・マティーニ
  5. (36) ウォッカ・マティーニ
  6. (40) コスモポリタン

 全体で11位のモスコー・ミュールは毎年10位前後で推移している。
14位のブラッディ・メアリーも毎年ベスト15にはランクインしている。

・テキーラ・メスカルベース

 テキーラとメスカルベースのカクテルランキングは以下のとおりである。
()内は全体の順位である。

  1. (3)  マルガリータ
  2. (13) パロマ
  3. (34) ネイキッド・アンド・フェイマス
  4. (35) メスカル・マルガリータ

 全体で13位のパロマは人気が上昇傾向にあり、
2023年にはTOP10入りするかもしれない。
テキーラ人気を追い風に、他のテキーラベースカクテルにも注目したい。

・ブランデー・ピスコベース

 ブランデーとピスコベースのカクテルランキングは以下のとおりである。
()内は全体の順位である。

  1. (12) ピスコ・サワー
  2. (42) サイドカー

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カクテルランキング推移

 2022年のランキングTOP10の推移をグラフにまとめた。
調査が始まった2015年のTOP10の推移も一緒に見てみよう。

カクテルランキンググラフ

 ネグローニとオールド・ファッションドの人気は底堅いがわかる。

 マルガリータが徐々に順位を上げてきているのは、
テキーラ人気が強まっている表れだろうか。

 マティーニとダイキリはほぼ横ばい。

 モヒートも横ばいだったが、2022年にいきなり8ランクも落としている。

 マンハッタンとウイスキー・サワーは緩やかに下降気味。

 上昇トレンドにあるのが、エスプレッソ・マティーニ
アペロール・スプリッツペニシリンである。

 2014年に3位だったサゼラックは急激に人気を落としている、
というよりも他のカクテルの人気く高まっているという表現のほうがしっくりくる。
マイ・タイも当初9位だったがどんどん順位を落としたが、ここ数年で少し持ち直した。

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あとがき

 カクテルに限らず流行り廃りはある。
調査されたカクテルはクラシックと位置づけされているが、
仮に創作カクテルを含む全カクテルでも順位は変わらないだろう。
理由は、創作カクテルは一店舗や一地域などの局所的な人気はあるかもしれないが、
グローバルでは認知度の高さが重要なのである。
カクテルの認知度が高まる頃にはモダン・クラシックの仲間入りを果たし、
その後人気を維持できればクラシックとして世に名を残すことになる。
しかし、最近は世界中が繋がっているため、良いものの認知は早まっている。
ただし、回転が早く、飽きられるのも早い、、、
これからもカクテルの動向に注目したい。