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図解■ ジンの輸出入量【日本】『順調に成長を続けるジン輸出!』

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文字数:約2800文字

 クラフトジンが世界的なブームということは、
海外のクラフトジンの輸入が増えたり、
国内のクラフトジンの輸出が増えたりすることになる。

 現在の状況がどうなっているのか、データとまとめたので見てみよう。

●ジンの輸出入量、輸出入額、輸出入単価

 輸出入量と輸出入額を財務省のデータからそれぞれ見ていこう。

・ジンの輸出入量 推移

ジンの輸出入量グラフ

 ジンの輸出量を上向きに、輸入量を下向きに表したグラフである。
輸出量は2017年から急激に増加し始め、2024年は3,576kLも輸出している
2021年、22年にはパンデミックの影響で突発的な増加があったが、
その2年間を除くと、順調に増加し続けていることがわかる。
以前は完全に貿易赤字だったが、現在は逆転して貿易黒字の状態である。

 輸入量に関しては大きな変動はなく、ジンブームの影響を感じづらい。
その理由はある一国の輸入量に左右されているためである。
詳細は後述する。

・ジンの輸出入額 推移

ジンの輸出入額 グラフ

 輸出額は以前に比べると大幅に増加して、現在は30億円付近にとどまっている
輸入額は増減はあるものの、高い位置をキープしている。
金額に関しては為替レートを考慮する必要があり、単純ではない。

・ジンの輸出入単価 推移

ジンの輸出入単価 グラフ

 ジンの輸出入額を輸出入量で割って、1L当たりの金額を算出した。

 輸出量が少ない時は単価が上がるものなので、気にしなくてもよいだろう。
輸出量が増加した近年は少しずつ単価が上がっているのは好ましい傾向である。

 輸入単価は2012年を底にして、少しずつ増加し、現在は最高値である。
この少しずつ増加している要因は、
やはりクラフトジンやプレミアムジンの割合が徐々に増えているためだろう。
しかし定番品が圧倒的に多いため、少しずつしか増加しないのである。

●ジンの輸出入量、輸出入額の内訳【2024】

 ここまではジンの輸出入量、輸出入額の推移をみてきた。
ではその内訳はどうなっているのだろうか。
どこの国に輸出入しているのか見てみよう。

・ジンの輸出入量 内訳【2024

ジンの輸出入量内訳 グラフ

 2024年に日本がジンをもっとも輸出した国はオランダである。
オランダは全体の33%を占める
日本がこれほどオランダにジンを輸出していることは驚きである。

 二番目に多いのはアメリカである。
アメリカは全体の約20%を占める。

 三番目はオーストラリアで11%、四番目はイギリスで9%。
以下、ドイツ、シンガポール、フランスと続く。

 2024年の輸入元はイギリスがダントツである。
イギリスは全体の9割以上を占める
さすがジンを育てた国といえるだろう。
定番のジンはほぼイギリス産であることを考えれば当然の結果である。

 2位アメリカでも2%、3位フランス1%、4位スペイン1%。
輸出量1位のオランダは5位である。

 輸入量の推移で全体を左右する一国というのがイギリスである。
全体の9割以上を占めていることからわかるように、
他の国が多少増減しても、全体への影響は小さい。

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・ジンの輸出入額 内訳【2024

ジンの輸出入額内訳 グラフ

 輸出額では輸出量と順位が入れ替わっている。
1位はアメリカで25%を占め、2位はオランダで18%である。
これはオランダよりもアメリカのほうが輸出単価が高いといえる。
他の国をみても、輸出量とは違った結果になっている。

 輸入額は当然イギリスがダントツなのだが、
輸入量が9割以上を占めていたにもかかわらず、輸入額は8割程度である。
アメリカは1%程度しかなく、輸入単価が低い

・ジンの輸出入単価【2024

ジンの輸出入単価内訳 グラフ

 ある程度の輸出入量のある国の輸出単価をまとめた。
輸出単価はフランスがもっとも高く、1L当たり1,558円
次いでシンガポール、アメリカ、オーストラリアが1,000円以上である。
これらの国にはクラフトジンやプレミアムジンが多く輸出されているのだろう。

 逆にドイツ、オランダ、イギリスは単価が低く、500円以下である。
輸出量の3割を占めるオランダには、
スタンダードなジンが多く輸出されているということである。

 輸入単価でもフランスがもっとも高く、1L当たり3,135円である。
フランスは輸出も輸入も高級嗜好である。
次いでオランダ、スペインが2,000円台である。
オランダはジンの原形が生まれた国である。
そのような付加価値も加わり、高級化しているのだろうか。

 輸入量の9割以上を占めるイギリスは単価が低いが、
それよりもアメリカのほうが低いのは意外である。
イギリスは定番品をそこまで安売りしているわけではないということだ。

●【国別】ジンの輸出入量 推移

 ここまで2024年の内訳は紹介したが、推移はどうなっているのかをみてみよう。
ジンの動向は激しさを増している。
単年でみるのもよいが、推移をみると新たな発見がある

・【国別】ジンの輸出量 推移

ジンの輸出量国別 グラフ

 毎年オランダが一番の輸出先であることがわかる。
一度だけ2023年に急落した際、シンガポールに抜かれた。
しかしなぜオランダは日本のジンをこれほど受け入れているのだろうか。

 オランダと似た動きをしているのがアメリカである。
この二カ国のリンクには理由があるのだろうか。
製品内訳がわかれば何か掴めるかもしれない。

 オランダ、アメリカに近い動きなのが、オーストラリアであるが、
2024年に回復できず、差が生じた。

 安定しているのはイギリスとフランスである。
多くの国がパンデミック後の2023年に激減したが、
イギリスとフランスは減少しなかった。

 シンガポールは2023年に大きな減少はなかったが、2024年に減少した。
減少のタイミングが遅れてやってきたのか、別の要因があるか。

・【国別】ジンの輸入量 推移

ジンの輸入量国別 グラフ
ジンの輸入量国別2 グラフ

 先述のとおり、一番の輸入元はイギリスである。
イギリスは絶対的な存在であり、今後も長く安泰であろう。

 イギリスがダントツなので、グラフを2つに分けた。
2019年までは韓国が単独2位だった。
しかし2020年から急激に減少し、現在はほぼゼロである。
「ジン 韓国産」のキーワードで思い浮かぶのは『ギルビージン』だろう。
ギルビージンはイギリス生産なのだが、
韓国やフィリピンでライセンス生産もしている。
長く日本向けのギルビージンはフィリピン産、韓国産のものだったが、
現在は「原産国:イギリス」と表記されている。

 韓国が急減少したため、アメリカが2位に繰り上がった。
アメリカは増減が激しいのは、輸入単価が低いためだろう。
今後を見守りたい。

 イギリス、アメリカ以外は輸入量が少ないが、伸びてきている国もある。
フランス、スペイン、オランダのこれからに期待したい。

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●あとがき

 日本国内の和素材を使ったクラフトジンもよいが、
海外の現地固有素材を使ったものも試したくなる。
ジンの可能性はとても高く広い。
まだまだ新しいジンが出てくるだろう。
全てを味わい尽くすことはできないが、自分に合うものを探し続けたいものだ。

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