更新日:2022年9月4日
文字数:約1500文字
残念ながら、シードルの歴史の詳細はわかっていない。
ビールやワインなどは、壁画や古い文献に年数まで書き残されているものがあるが、
シードルは記録が少ない。
リンゴの祖先は、恐竜が絶滅した白亜紀末期の隕石衝突(6600万年前)で、
環境が激変したことによる、突然変異の生き残りという説がある。
現在のリンゴの祖先(マルス・シルウェストリス[Malus silvestris])は、
コーカサス地方からトルキスタン、天山山脈にかけて、自生していたと考えられている。
人類の祖先であるアウストラロピテクスの誕生が400万年前、
ホモサピエンスが20万年前である。
人類が誕生した頃にはすでにリンゴは存在しており、食料として摂取していたと考えられる。
ブドウ果汁から酒が造れるなら、リンゴ果汁からも酒が造れると考えるだろう。
つまり、ワイン造りが始まった近い時期に、シードル造りがされていてもおかしくない。
ワイン造りは紀元前8000年頃(約1万年前)に世界最古の文明人とされるシュメール人が、
コーカサス山脈周辺(現在のジョージア周辺)で始めたとする説がある。
リンゴはブドウよりも雨が多く、涼しい環境を好むため、
ワインを造れるようになった人類が北進すれば、
自生する果物がブドウからリンゴに代わり、シードル造りが始まったと考えられる。
シードルの語源は、ヘブライ語の「シェカール(shekar)」が、ラテン語の「シケラ(sicera)」になり、
スペイン語の「シドラ(sidra)」、フランス語の「シードル(cidre)」、英語の「サイダー(cider)」に
派生したとされる説がある。
シセラはお酒の総称を指し、9世紀のスペイン アストゥリアスで
リンゴ酒を意味するものとなったされている。
古代ではお酒全般を指す言葉があり、シードルもワインも一緒くたにされていたことで、
ワインの歴史とごっちゃになっている可能性もある。
シードルに着眼して古代の文献を解読する人が増えれば、
今よりも詳しい歴史がわかるかもしれない。