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テキーラには、名門と呼ばれるメーカーがいくつかある。
当然、日本でもよく知られているブランドなので、その成り立ちなどを見てみよう。
ボトルにあしらわれた蹄鉄が印象的なエラドゥーラ。
長く続くブランドには歴史を紹介しよう。

- 英 字 :Herradura
- 創業年 :1870年
- 創業者 :Félix López(フェリクス・ロペス)
- 生産地 :ハリスコ州バジェス地方アマティタン地区
- 製造販売:ブラウン・フォーマン社
- 日本取扱:アサヒビール(株)
- NOM :1119
●125年以上にわたって家族経営を続けてきた
1870年の創業から20世紀後半まで、125年以上にわたり家族経営によって、
造り続けられてきたエラドゥーラの歴史をまとめた。
・エラドゥーラの歴史

- 1870年
フェリクス・ロペスが、アシエダの地で、蒸留所の操業を開始する - 1878年
フェリクスが亡くなり、妻のカルメン・ロサレスと
その兄(アンブロシオ・ロサレス)夫婦で事業を継続する
その後、息子のアウレリオ・ロペス・ロサレスに
事業が引き継がれる - 1900年代初頭
アウレリオがアガベ農園で、
太陽の光を浴びて輝く蹄鉄を見つける
これに因んで農園名を「カーサ・エラドゥーラ」に変える - 1928年
蹄鉄をロゴにした「エラドゥーラ」ブランドを販売開始する - 1994年
セカンドブランドとして「エル・ヒマドール」を販売開始する - 1990年代
事業の売却や買い戻しなどを繰り返す - 2007年
米国のブラウン・フォーマン社に完全買収される
ブラウン・フォーマン社は、ジャック・ダニエルで知られる国際的な大企業である
ロペス家による家族経営は完全に途切れる
-幸運のシンボル

蹄鉄(エラドゥーラ)は幸運のシンボルとされている。
アウレリオが畑で蹄鉄を見つけたことにより、農園名を変え、
ブランド名もエラドゥーラとし、ボトルデザインにも蹄鉄があしらわれている。
当時は、テキーラの原料となるアガベの球茎(ピニャ)をロバで運んでいた。
ピニャは大きいものだと100キロになるものもあり、運搬には家畜が使われた。
蹄鉄は馬のイメージが強いが、見つかったものはおそらくロバ用のものだろう。
蹄鉄が幸運のシンボルとされる由来は、昔イタリアのある村人が、
有力者が飼っている馬の蹄鉄を直して、大きな収入を得たことから、
蹄鉄が富や幸福を呼ぶと言われるようになった。
他にも諸説ある。
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●エラドゥーラブランド
エラドゥーラの定番ブランドを紹介しよう。
・エラドゥーラ
エラドゥーラの看板商品であり、100%アガベである。
さらにアガベも自家農園のものを100%使用している。
ラインナップとしては、プラタ(シルバー)、レポサド、アニェホの他に、
アニェホを木炭で濾過したウルトラや、
49カ月熟成のセレクシオン・スプレマなどがある。

・エル・ヒマドール
エラドゥーラのセカンドブランド。
当初はミクスト・テキーラとして販売されていたが、
現在は100%アガベ・テキーラに変更されている。
ヒマドールとは、アガベを栽培管理する職人のこと。
エラドゥーラとの違いは、熟成期間である。
エル・ヒマドールは熟成期間を最低限に設計されている。
エラドゥーラ プラタは45日熟成なのに対して、エル・ヒマドール ブランコは熟成無し。
エラドゥーラ レポサドは11カ月熟成に対して、エル・ヒマドール レポサドは2ヵ月である。

●あとがき
畑で見つけた蹄鉄にちなんで、農園名を変えて、製品を出してきたエラドゥーラ。
125年以上も家族経営が続いたのは蹄鉄の幸運が少なからずあったのだろう。
エラドゥーラを飲めば少しは幸運にあやかれるかもしれない。