ウイスキーと樽

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 ウイスキーの美しい琥珀色は樽によって生み出される。
ウイスキーの定義は国によって違うが、木樽で熟成させることは共通である。
そんな樽について、材質、大きさ、種類の説明と、
熟成と切っても切り離せないエンジェルズ・シェアについて説明する。

樽について

樽
bloomingmimosaによるPixabayからの画像

 蒸留された無色透明の蒸留液は、ニューポット
またはニュースピリッツと呼ばれ、まだウイスキーとは呼ばれない。
アルコール度数が65~70%程度あり、刺激が強く、荒々しい。

 樽詰めする際に仕込み水を加えて、アルコール度数を63%程度に落とす。
このくらいの度数の時に、樽材成分がウイスキー中にもっとも溶出しやすくなる。

 樽で数年~数十年、熟成させることでまろやかな味わいと、
美しい黄金色、琥珀色へと変化する

 樽の寿命は60~70年といわれており、蒸留液が最初に詰められてから20~30年で
中を焼き直すなどのメンテナンスをし、さらに20~30年使われる。

樽の材質

 樽に求められるのは、密度が高く密閉性に優れ
香味に影響を与えるポリフェノールが豊富であること。

 冷涼な気候で育ったオークの木は、ゆっくり成長し密度が高くなる。
樹齢100年前後の良質なものが樽に適しているといわれる。

 日本ではオーク(oak)は「カシ(樫)」と「ナラ(楢)」の両方に訳されるが、
ウイスキー樽に使用されるものはほとんどが「ナラ」材である。

  • 北米産ホワイトオーク
     適度な硬度、強度、耐久性があり、樽材として最も代表的な品種。
  • ヨーロッパ産コモンオーク
     スペイン産のものはスパニッシュオークと呼ばれる。
  • 日本産ミズナラ
     主に北海道産のミズナラが使用される。
     ジャパニーズオークとも呼ばれる。
     オリエンタルなハーブ系の香りがつく。

樽の大きさ

 ウイスキーに使われる樽の大きさは主に3種類ある。
容量が大きいものよりも小さいもののほうが、熟成は早く進む。

  • バレル
     容量180~200リットル。
     バーボンでよく使われるため、バーボンバレルと呼ばれる。
     容量が小さいので、熟成は早く進む。
     主にホワイトオークでつくられる。
  • ホッグスヘッド
     容量約250リットル。
     バーボンバレルを解体し、側板を増やして胴回りを太くした樽。
     この樽にウイスキーを詰めた時の重さが豚(ホッグ)一頭とほぼ同じことから、
     こう呼ばれるようになった。
     ホッグとは食用の豚のこと。
  • バット
     容量約500リットル。
     シェリー酒の貯蔵に使われるため、シェリーバットと呼ばれる。
     『大きい』を意味するラテン語に由来。
     主にスパニッシュオークでつくられる。

樽の種類

  • バーボン樽
     アメリカンウイスキー、バーボンが詰められていた樽。
     ホワイトオークでつくられている。
     内側を焦がしているので、木の香りと甘いバニラのような香りが感じられる。
     色は薄めで金色がかった色味になる。
     現在スコッチの熟成に使われる樽の主流となっている。
  • シェリー樽
     スペインの酒精強化ワインであるシェリー酒が詰められていた樽。
     ウイスキー熟成が始まった頃は、シェリー樽しか使われていなかった。
     しかし、近年シェリー樽が不足し、数の豊富なバーボン樽に目が向けられるようになった。
     色は濃い赤茶色になる。

エンジェルズ・シェア

エンジェル
kalhhによるPixabayからの画像

 ウイスキーは樽で熟成してる間に少しずつ、中のウイスキーが減っていく
この減った分は天使が飲んだとして、天使の分け前と呼ぶようになった。
スコットランドでは年間1~2%、寒暖差がある地域ではさらに大きくなる。

 これは蒸散という現象で、夏は樽の中の空気が膨張し、冬は反対に収縮する。
それに伴い、酒に含まれる水分やアルコール分が蒸気となって樽の外に出ていく。

 また、樽の香味成分が溶出したり、水とアルコールの分子が会合したり、
このような化学反応が起きることで、風味豊かで美しい琥珀色の液体へと変化していく。
天使の分け前が多いのは、熟成速度が速いことを意味する。

あとがき

 最近は樽のバリエーションが増えてきて、挑戦的な試みが見られるようになった。
熟成に使われるのはシェリー樽やバーボン樽が基本だが、
後熟にはマルサラワインやラム、テキーラなどの樽が使われるものもある。
それぞれのお酒の特徴がウイスキーに移り、とても面白いが、
個人的には失敗したようなものもあるように感じる。
小さい樽でもいいから、いつか自分で樽を持ちたいものだ。