ジンのつくり方

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 ジンの製造でもっとも重要となるのが、ボタニカルからの成分抽出である。
原料となるボタニカルによって、抽出方法を変えるなどの工夫が凝らされている。

ジン
antonio speranzaによるPixabayからの画像

基本工程

  1. 原料の糖化
    主に穀物(大麦、小麦、ライ麦やトウモロコシ)が使われる。
    (ブドウやリンゴなどの果実が使われること)
    穀物は、糖化酵素の働きで、デンプンを糖に分解する。
  2. 原料の発酵
    糖化された原料は、酵母によってアルコールと二酸化炭素に分解される。
    出来上がった発酵液はアルコールを含み、もろみ(ウォッシュ)と呼ばれる。
  3. もろみの蒸留
    もろみを蒸留してアルコール度数を高める
    高いアルコール度数を得るために連続式蒸留機が使われることが多い。
    出来上がった蒸留液のアルコール度数は95%以上となり、
    ニュートラルスピリッツや中性アルコールなどと呼ばれる。
  4. ボタニカルの成分抽出
    ニュートラルスピリッツを使ってボタニカルから成分を抽出する。
    抽出方法はさまざまある。
  5. 加水、瓶詰め
    香りや味わいのバランスを見ながら加水し、
    瓶詰め後は水と馴染むまで数週間貯蔵する。

 ニュートラルスピリッツは、専門業者から購入する場合がある。
上記の1~3を飛ばすことができる。

 購入のメリットは、高品質、安定生産、低コストである。
自社でニュートラルスピリッツを製造するには、設備や原料調達、ノウハウが必要となる。
ジン製造の要である、ボタニカル成分の抽出に注力するのも一つの手である。

関連記事:ジンの原料【ボタニカル】

抽出方法

 ボタニカルの成分抽出は、ジンを造るうえで肝心要の工程であり、
材料や求める香り、味わいによっていくつかの方法を使い分けている。
また、材料ごとに抽出方法を変えて、最後にブレンドする場合もある。

・浸漬法

浸漬
浸け込み
LebensmittelfotosによるPixabayからの画像

 ボタニカルをアルコールに浸け込むことで、成分が溶け出す。
浸漬時間は数時間から24時間くらい。
多くの成分が抽出され、はっきりとした香味となるが、
好ましくない成分まで抽出されることがあるので注意が必要。

 抽出後に蒸留をするかどうかでジンの分類が決まる。
蒸留せずに完成すると、ただのジンに区分される(コンパウンドジン)。
蒸留すると、蒸留ジン、またはロンドンドライジンとなる。

・蒸気抽出法(ヴェイパー・インフュージョン:Vapour Infusion)

蒸気
sgrundenによるPixabayからの画像

 蒸留器の上部にボタニカルを置き、下部からニュートラルスピリッツを加熱する。
発生したアルコール蒸気がボタニカルを通り抜ける際に、香味成分が抽出される
繊細な香りの抽出に向いている。
この製法で造られているジンは、「ボンベイ・サファイア」が有名である。

 蒸留器の上部にバスケットをセットできるものは、カーターヘッドスチルと呼ばれている。
ボタニカルを入れたバスケットを出し入れするだけなので、扱いが容易である。

関連記事:ジンの定番商品【ボンベイ・サファイア】

・減圧蒸留法

 浸漬法、ヴェイパーインフュージョン法と組み合わせて使われる。
蒸留器内の圧力を下げることで、液体の沸点を下げることができる。
香味成分には熱によって分解されてしまうものもあり、高温は厳禁なものがある。
他にも高温による焦げ臭を防止する効果もある。

●あとがき

 ボタニカルの成分抽出は、もっともこだわりが出せる工程だろう。
ボタニカルを分けるorまとめる、浸漬or蒸気、常圧or減圧、さらに温度、時間など、、、
ボタニカルの状態によっても抽出条件は変わる。
とても大変だが、とても面白い工程である。
それらを知って飲むジンはまた一味違って感じるだろう。

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