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高級酒の代表的なお酒であるシャンパンはどのくらい飲まれているのだろうか。
その売り上げはどのくらいあるのだろうか。
ふとした疑問の答えをここで明示する。
シャンパンの出荷量や売上をグラフにまとめたことで、
変化の傾向が見えてくる。
データはUMC(Union des Masons de Champagne:シャンパンメゾン組合)の
公開しているものを使った。
●シャンパンの出荷量

2003年からの出荷量のグラフである。
フランス国内と輸出の出荷量とトータル量を表している。
出荷量の単位は[百万本]である。
まず目に入るのはフランス国内と輸出が2018年以降逆転していることである。
実はフランス国内でのシャンパン消費は21世紀に入ってから減少傾向にある。
減少の要因として、クレマンの品質向上と海外市場への転換が挙げられる。
クレマンとはシャンパーニュ地方以外のフランスの地域で、
シャンパンと同じ瓶内二次発酵で造られるスパークリングワインのこと。
シャンパンに近い品質で価格は半分程度なので、日常的に飲まれている。
シャンパンは高いので祝いの席など、特別な時に飲むようになり、
国内消費は減っているのである。
そんな国内消費の減少を鑑みて、大手メゾンは海外展開を強化する。
海外での人気は上昇傾向にあり、欧州やアメリカのほか、
さらにアジアやアフリカではこれからの需要拡大が期待される。
この大手メゾンの戦略転換が今後のカギになるだろう。
その他の理由として、月並みではあるが、
健康意識の高まりによるお酒離れと、飲料選択肢の多様化が挙げられる。
これは日本も含めて、多くの先進国で起きている飲酒スタイルの傾向である。
・シャンパンの出荷量(ロングスパン)

このグラフは1850年代からのロングスパンである。
1950年頃から出荷量が増え始めている。
フランス国内、輸出ともに増加傾向にあったが、
先に記したとおり2018年にその割合が逆転していることがよくわかる。
ただし、輸出もここ2年は減少していることから、
今後の動向に注目したい。
●シャンパンの売上

2003年からの売り上げのグラフである。
売り上げの単位は[億ユーロ]である。
トータルでは増加傾向にあることがわかるが、
フランス国内の売上は20億ユーロ前後で横ばいである。
全体の売り上げを伸ばしているのは輸出であることがわかる。
新型コロナでの落ち込みからフランス国内も輸出も回復しているが、
輸出の売上はさらに以前の水準を超えて増加している。
・シャンパンの出荷量と売上《2024年》

2024年の出荷量と売り上げの割合を見てみよう。
出荷量はフランス国内では1億1820万本で44%、
輸出は1億5320万本で56%、
全体で2億7140万本である。
輸出が国内消費を完全に上回っていることがわかる。
売り上げはフランク王国では21億ユーロで36%、
輸出は37億ユーロで64%、
全体で58億ユーロである。
出荷量と売り上げの割合に8%の差があるのがわかる。
これは1本あたりの売り上げが違うためである。
●シャンパン1本あたりの売上

売り上げを出荷本数で割り、1本あたりの売り上げを算出した。
2003年からの推移を表したグラフである。
単位は[ユーロ/本]である。
フランス国内も輸出も増加傾向にあることがわかる。
輸出は2022年から、国内は2023年から増加率が高くなっている。
これは世界情勢が不安定になったことにより、
原材料・飼料費、エネルギー価格、物流費の高騰が影響している。
1ユーロ=180円とすると、17.8ユーロは3,204円。
これは日本で大吟醸(720ml)の中価格帯くらいである。
気軽に飲むにはやや高い。
●あとがき
祝祭の大定番であるシャンパンだが、
これからも安泰という訳ではなさそうだ。
フランス国内の消費回復は簡単ではないだろう。
国内消費の減少を抑えつつ、海外輸出で稼ぐ戦略がとられている。
ただし各国との関税問題があり、海外戦略も一筋縄ではいかない。
シャンパンの動向は日本酒の今後の展開にも役立つのではないだろうか。


