Public Relations

ウイスキーのコンデンサー(冷却器)とは?種類と違いを解説

HOME

文字数:約1900文字

 ウイスキーの製造工程であまり注目されていないが、
重要な装置のひとつがコンデンサー(冷却器)である。
コンデンサーの役割と種類による特徴を説明する。

 ちなみにコンデンサーは電子素子にも使われ用語で、
キャパシターや蓄電器の意味もある。

G-ad

●コンデンサー(冷却器)とは

水の球
Piotr ZakrzewskiによるPixabayからの画像

 コンデンサー(冷却器)とは、
蒸留で発生したアルコール蒸気を冷却して液体に戻す装置であり、
ウイスキーの香味に大きな影響を与える重要な工程の一つである。

・コンデンサー(冷却器)の役割

水滴
Geri ArtによるPixabayからの画像

 コンデンサー(冷却器)は、
蒸留によって発生したアルコール蒸気を冷却して液体に戻す役割を担うだけでなく、
冷却の方法によって成分の戻り方が変わるため、
最終的なウイスキーの香味にも影響を与える

 コンデンサーの役割を詳しく説明すると、
ポットスチル(蒸留器)で発生した蒸気を冷やして液化させる

 もろみ(発酵液)はポットスチルの蒸留釜(蒸留器底部)に入れられる。
蒸留釜で加熱されたもろみは、蒸気となって蒸留器内を上昇する。
上部は行き止まりなので、横付けされたラインアームへと進む。
ラインアームの先に設置されているのがコンデンサー(冷却器)である。

 ポットスチルと同様にコンデンサーも
蒸気が触れる部分は銅でできていることが多い。
銅は熱伝導率が良いので、冷却水の温度が蒸気に伝わりやすい。
また、蒸気が銅イオンと接触すると、
不快な成分(硫黄化合物など)が除去される

  • アルコール蒸気を冷却して液体に戻す
  • 不快な香味成分を除去する

 ウイスキー全体の製造工程については、
ウイスキーのつくり方で詳しく解説している。

●コンデンサー(冷却器)の種類

 コンデンサーは主に2種類あり、
伝統的なワーム式(蛇管式)と、
現在主流のシェル&チューブ式(多管式)である。

 冷却能力は水温や流速によって調整できる
水は川や井戸水など自然の水源を使用することが多い。

  • ワーム式(蛇管式)
  • シェル&チューブ式(多管式)

・ワーム式(蛇管式)

ワーム式エドラダワー蒸留所
https://edradour.com/

 伝統的な冷却方法。
クラシックを好む飲み手には、ワーム式であることが求められる。

 ラインアームから伸びた銅管がとぐろを巻いて
水の入った桶(ワームタブ)に設置されている。

 欧州では巻かれた銅管をミミズ(ワーム)と表現し、
日本ではとぐろを巻いた蛇を表して蛇管と呼ばれる。
屋外に設置されることもある。

 銅管内を通る蒸気は、桶の水で冷やされて液化する。
銅との接触面積は小さく、蒸気が触れるのは銅管内側のみである。
このため、力強く、しっかりとした風味になる。

・シェル&チューブ式(多管式

シェル&チューブ式

 現在の主流な冷却方法。
シェルと呼ばれる胴体の中にチューブという細い円管が設置されている。
チューブ内は水が流され、蒸気はラインアームからシェルに入り、
チューブに接触することで冷やされて液化する。
チューブが何本も設置されていることから多管式と呼ばれる。
設置は水平でも垂直でも可能で、
スチルハウス(蒸溜室)の広さに合わせやすい。

 銅との接触面積は大きく
蒸気が触れるのはチューブ外側とシェル内側である。
このため、軽くクリアで、華やかな風味になる。

 コンデンサーで使われた冷却水は熱を持っており、
その熱は蒸留所内で再利用される。
熱の無駄遣いを減らす取り組みが標準化されつつある。

●ワーム式とシェル&チューブ式のまとめ

 2種類のコンデンサーの一般的な特徴をまとめた。
各蒸留所で改造や工夫をしているので、これに当てはまらない場合もある。

ワーム式シェル&チューブ式
伝統的現在主流
銅の表面積
敷設エリア
冷却能力
メンテナンス易しい難しい
風味、味わいパワフル、しっかり軽やか、クリア

 もしコンデンサーが無ければ、蒸留器内の圧力は増加し、
いつまで経っても蒸留が終わらない。
蒸留速度は蒸留器の加熱温度によるところが大きいが、
コンデンサーの能力にも依存する。

 コンデンサーは大きく取り上げられることはないが、
とても重要な役割を果たしているのである。

●あとがき

 ワーム式とシェル&チューブ式ではニューポットの味わいに違いがでると言われている。
ポットスチルと同様に銅との接触による硫黄化合物の除去が影響しているのだろう。
しかしそれぞれを飲み比べることができないのが残念である。
今後、ワーム式をシェル&チューブ式に変更する蒸留所があれば、
もしかしたらそれぞれの違いを味わうチャンスがあるかもしれない。
日頃の情報収集に務めよう。