ブラッドノック蒸留所は、スコットランド南西部のローランド地方にある蒸留所。
1817年創業と長い歴史を持つ一方、
閉鎖や経営難を経験しながらも復活を遂げたことで知られている。
現在はローランドモルトの伝統を受け継ぎながら、
新たな挑戦を続ける蒸留所として注目を集めている。
ここではブラッドノック蒸留所の歴史や特徴を解説する。
●ブラッドノック蒸留所とは
まずブラッドノック蒸留所の基礎データを見てみよう。
・基礎データ、場所

- 蒸溜所名:ブラッドノック蒸溜所
- 英 字:Bladnoch
- 意 味:不明、ブラッドノック川から取っている
- 創 業:1817年
- 仕込み水:ブラッドノック川
- 蒸留器 :バルジ型
- 現所有者:ブラッドノック・ディスティラリー社
- 輸入元 :東亜商事(株)
スコットランドのローランド地域南部、最南端のスコッチ蒸溜所である。
蒸留所オーナーが10回以上も変わるという、波乱万丈の経歴を持つ。
歴史と伝統を持つ蒸留所だけに、これからの商品展開が期待される。

・特徴
-味わい
ローランドモルトらしいライトさと花のような香り。
ノンピートなので、落ち着いてゆっくり楽しめる。
オーナーが変わるとボトルやラベルデザインが変わり、
コンセプトも変わっている。
バーなどで旧品と比較して飲むのも面白い。
-経緯
これまでに10回以上もオーナーが変わっているブラッドノック蒸留所。
蒸留所の位置がアイルランドに近いせいか、
アイルランド系からの買収も度々ある。
わかる範囲でその経緯をたどってみよう。
- 1817年
マクレーランド兄弟(ジョンとトーマス)によって創業。
農業を本業とし、冬の時期にだけ副業として蒸留を始める。
ほそぼそと家族経営を続けるが、1905年に閉鎖。 - 1911年
北アイルランドのダンヴィル社が買収。
同社は北アイルランドのベルファスト(ブラッドノックからも近い場所)に
蒸留所を所有している。 - 1937年
スコットランドのDCL社(ディスティラーズ・カンパニー・リミテッド)が
ダンヴィル社を買収し、所有権が移る。
しかし、操業はせず、閉鎖状態で放置された。 - 1956年
スコットランドのA.B.グラント社が買収。 - 1964年
マクゴーン&キャメル社が買収。 - 1973年
アメリカのインバーハウス社が買収。 - 1983年
スコットランドのアーサー・ベル&サンズ社が買収。 - 1985年
アイルランドのギネスグループにベル社が買収される。 - 1986年
ギネス社がDCLと統合しUD(ユナイテッド・ディスティラーズ)社になる。
「花と動物シリーズ」をリリースし好評を得るが、1993年に閉鎖。 - 1994年
レイモンド・アームストロング氏によって個人買収される。
アームストロング氏は、北アイルランドで不動産業を営む資産家。
ブラッドノック蒸留所を別荘に改築するために購入した。
購入の際には、ウイスキーを生産しないことを約束している。
敷地はライヴハウスや貸しホール、結婚式場、ウイスキー蒸留学校などに使われた。 - 2000年
アームストロング氏の気が変わり、操業を再開する。
生産再開条件として年間最大生産量10万リットルとされる。 - 2015年
オーストラリアのデイビッド・プライアー氏が買収。
新オーナーになってからの熟成品がこれから出回り始めるので注目したい。

●あとがき
順風満帆な歴史よりも、山あり谷ありのほうが興味をそそられる。
ここまで様々なオーナーに変わったのは、それだけ魅力のある蒸留所だとも言える。
普通なら完全閉鎖していてもおかしくないのに、
生き残れたのは幸運以外の何かがあるのかも。
そういう意味でも縁起の良い、不屈のスコッチである。


