更新日:2022年8月9日
文字数:約1300文字
日本酒造りの製法が確立されたのは江戸時代だと言われている。
現代では技術発展により、独自性のある製法も誕生しているが、
今回は一般的な製法について書いていく。
もくじ
原料となる玄米の表面を削り取り白米にする。
表層部にはタンパク質や脂質などが多く含まれており、旨味や雑味のもとになる。
しっかり削られた米で造られるとすっきりした味わいになる。
どこまで削るかは目標とする酒質によって決める。
精米された米には米くずがついているため、洗って取り除く。
高度に精米された米は割れやすく、洗米時には注意が必要。
米に水を吸わせる。
ただ吸わせればよいわけではなく、どの程度吸水させるかで、
次工程の蒸しに大きな影響を与える。
温度や湿度、天候など様々な条件を加味して秒単位で吸水を行う。
高温の蒸気で蒸すことで米を内部を軟らかくする。
理想の状態は外側は硬く、内側は軟らかい「外硬内軟」である。
食用米のように炊いてしまうと、外硬内軟にはならない。
できあがった蒸米は、製麹用、酒母用、仕込み用に分けられる。
蒸米(むしまい、じょうまい)に麹菌をふりかけて、繁殖させる。
約2日かけて麹菌の菌糸をしっかり内部まで食い込ませる。
次工程の発酵をスムーズに進めるために酒母を造る。
蒸米、米麹、水に酵母を加えて造られる。
このとき醸造用乳酸を添加して造るものを速醸系、
蔵内の野生の乳酸菌を利用するものを生酛系という。
一般的に3回に分けて仕込まれる。
最初に酒母に米麹、蒸米、水を加える(初添え)。
十分に酵母を増殖させるために1日寝かせる(踊り)。
追加で米麹、蒸米、水を加える(仲添え)。
さらに米麹、蒸米、水を加える(留添え)。
ゆっくりアルコール発酵が進み、もろみができがある。
できあがったもろみを搾ることで酒と酒粕に分ける。
搾り方には自動圧搾機を使う方法や、伝統的な槽搾りなどがある。
上槽後の酒にはまだオリと呼ばれる固形物が含まれている。
酒を静置し、オリを沈めて上澄みのみを取る。
さらに活性炭素を混ぜてフィルターでろ過する。
酵母や菌を失活させるために、低温加熱殺菌を行う。
火入れされた酒は、タンクで数カ月寝かして、味を落ち着かせる。
原酒に仕込み水を加えてアルコール度数を調整する。
火入れと瓶詰めはセットで行われる。
瓶の状態で火入れされることを瓶燗火入れという。
ラベルを貼られ、出荷される。
日本酒は他のお酒と比べても、やはり複雑だ。
美味しい日本酒を造るにはどの工程も必要なことである。
昔は日本酒造りは蔵に泊まり込んで、寝ずの番をしながら行ものだったが、
今は効率の良い設備の導入や、管理設備の充実で過酷な作業はだいぶ軽減されている。
しかし昔ながらの伝統的な製法にこだわっている蔵もあり、
その味を懐かしく思い、ファンになる人がいるのも現代の面白さなのだと思う。