日本酒のつくり方

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文字数:約1300文字

日本酒造りの製法が確立されたのは江戸時代だと言われている。
現代では技術発展により、独自性のある製法も誕生しているが、
今回は一般的な製法について書いていく。

●日本酒造り

米
ally jによるPixabayからの画像

●精米

 原料となる玄米の表面を削り取り白米にする
 表層部にはタンパク質や脂質などが多く含まれており、旨味や雑味のもとになる。

 しっかり削られた米で造られるとすっきりした味わいになる。
 どこまで削るかは目標とする酒質によって決める。

●洗米

 精米された米には米くずがついているため、洗って取り除く。
 高度に精米された米は割れやすく、洗米時には注意が必要。

●浸漬

浸漬
Gerd AltmannによるPixabayからの画像

 米に水を吸わせる
 ただ吸わせればよいわけではなく、どの程度吸水させるかで、
 次工程の蒸しに大きな影響を与える。
 温度や湿度、天候など様々な条件を加味して秒単位で吸水を行う。

●蒸し

蒸す
Engin AkyurtによるPixabayからの画像

 高温の蒸気で蒸すことで米を内部を軟らかくする。
 理想の状態は外側は硬く、内側は軟らかい「外硬内軟」である。

 食用米のように炊いてしまうと、外硬内軟にはならない。
 できあがった蒸米は、製麹用、酒母用、仕込み用に分けられる。

●製麹(せいきく、せいぎく)

 蒸米(むしまい、じょうまい)に麹菌をふりかけて、繁殖させる。
 約2日かけて麹菌の菌糸をしっかり内部まで食い込ませる。

●酒母造り(しゅぼづくり)

 次工程の発酵をスムーズに進めるために酒母を造る。
 蒸米、米麹、水に酵母を加えて造られる。

 このとき醸造用乳酸を添加して造るものを速醸系、
 蔵内の野生の乳酸菌を利用するものを生酛系という。

日本酒のつくり方の流れ

●仕込み(もろみ造り)

 一般的に3回に分けて仕込まれる
 最初に酒母に米麹、蒸米、水を加える(初添え)。
 十分に酵母を増殖させるために1日寝かせる(踊り)。
 追加で米麹、蒸米、水を加える(仲添え)。
 さらに米麹、蒸米、水を加える(留添え)。
 ゆっくりアルコール発酵が進み、もろみができがある。

●上槽(搾り)

 できあがったもろみを搾ることで酒と酒粕に分ける
 搾り方には自動圧搾機を使う方法や、伝統的な槽搾りなどがある。

●オリ引き・ろ過

 上槽後の酒にはまだオリと呼ばれる固形物が含まれている。
 酒を静置し、オリを沈めて上澄みのみを取る
 さらに活性炭素を混ぜてフィルターでろ過する

●火入れ(1回目)

 酵母や菌を失活させるために、低温加熱殺菌を行う。

火
Gerd AltmannによるPixabayからの画像

●貯蔵

 火入れされた酒は、タンクで数カ月寝かして、味を落ち着かせる。

●加水

 原酒に仕込み水を加えてアルコール度数を調整する。

●火入れ(2回目)・瓶詰

 火入れと瓶詰めはセットで行われる。
 瓶の状態で火入れされることを瓶燗火入れという。

●出荷

瓶
Holger DetjeによるPixabayからの画像

 ラベルを貼られ、出荷される。

●あとがき

 日本酒は他のお酒と比べても、やはり複雑だ。
美味しい日本酒を造るにはどの工程も必要なことである。
昔は日本酒造りは蔵に泊まり込んで、寝ずの番をしながら行ものだったが、
今は効率の良い設備の導入や、管理設備の充実で過酷な作業はだいぶ軽減されている。
しかし昔ながらの伝統的な製法にこだわっている蔵もあり、
その味を懐かしく思い、ファンになる人がいるのも現代の面白さなのだと思う。




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