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ウイスキーブームが世界中に広まるなか、
経済大国アメリカのウイスキー消費量はどうなのか。
DISCUS(Distilled Spirits Council)のデータをもとに、
ウイスキー消費量をグラフにまとめた。
日米の経済関係は深いつながりを持っているため、
アメリカでのウイスキーの動向が日本にも影響を与える。
アメリカの消費動向を見てみよう。
●アメリカのウイスキー消費量
![ウイスキーの消費量【アメリカ】
グラフ](https://www.alcholog.com/wp-content/uploads/2023/03/a8bfcb3bae28a3d462ee941f09520e97.jpg)
アメリカではウイスキーの消費量が年々増加している。
2003年は3,800万ケースだったが、2021年には6,600万ケースまで増えている。
この間に70%以上増えたことになる。
単位は9リットルを1ケースとしている。
データはウイスキーの種類が以下のように分けられている。
- アメリカンウイスキー(バーボン、テネシー、コーン)
- カナディアンウイスキー
- ライウイスキー
- アイリッシュウイスキー
- スコッチウイスキー
・2021年のウイスキー消費量内訳
![ウイスキーの消費量内訳【アメリカ】
グラフ](https://www.alcholog.com/wp-content/uploads/2023/03/0fa739b7a6697ebc4ca6a860093ca706.jpg)
全体の45%を占めるのがアメリカンウイスキーである。
次いで隣国カナダのカナディアンウイスキーが29%。
3番目がスコットランドのスコッチウイスキーで15%。
4番目がアイルランドのアイリッシュウイスキーで9%。
そして国産のライウイスキーが2%である。
日本ではカナディアンはそれほど消費されていないが、
アメリカではカナディアンに親しみがあるようだ。
世界の5大ウイスキーとされるジャパニーズウイスキーは、
輸入量から推測する消費量は全体の1%以下である。
このため、データには入っていない。
アメリカではジャパニーズウイスキーを取り扱っている所はまだ少ないのが現状である。
・アメリカンウイスキーの消費量
![アメリカンウイスキーの消費量【アメリカ】
グラフ](https://www.alcholog.com/wp-content/uploads/2023/03/27d8a6502d3bc96c5595c4d4fdffbf4a.jpg)
ここでのアメリカンウイスキーとは、バーボンウイスキー、
テネシーウイスキー、コーンウイスキーが含まれる。
ライウイスキーは別カテゴリーとされている。
自国のウイスキーを飲むのは当然だが、
特に高価格帯の消費量が増加している。
Value品も若干増えてはいるが、高価格になるにつれて増加率は上昇する傾向にある。
・カナディアンウイスキーの消費量
![カナディアンウイスキーの消費量【アメリカ】
グラフ](https://www.alcholog.com/wp-content/uploads/2023/03/c47fe466de8d40af4505ab2b3daf2350.jpg)
2000年代は緩やかに増加していたが、2010年代からはしっかりとした増加に転じている。
特にSuper Premium品が急増している。
2003年は341万ケースだったが、2021年には857万ケースまで増加。
約2.5倍の消費量となっている。
カナディアンの5大ウイスキーの座を支えているのは、アメリカだといっても過言ではない。
・ライウイスキーの消費量
![ライウイスキーの消費量【アメリカ】
グラフ](https://www.alcholog.com/wp-content/uploads/2023/03/7d4483390c64092e0a446ec300025342.jpg)
ライウイスキーはアメリカで以前から造られていたが、消費量はそれほど多くなかった。
しかしカテゴリー中もっとも増加率が高いのがライウイスキーである。
元々の消費量が少ないということもあるが、2009年から18倍にまで増えている。
需要があるならば、ライ麦の栽培量を増やす動きも出てくるだろう。
これまではライ麦よりもトウモロコシを栽培するほうが収入は良かったが、
今後は農業の変化が見られるかもしれない。
・アイリッシュウイスキーの消費量
![アイリッシュウイスキーの消費量【アメリカ】
グラフ](https://www.alcholog.com/wp-content/uploads/2023/03/b74ed01047d311034d88933a004b311a.jpg)
アイリッシュウイスキーはライウイスキーに次いで2番目に増加率が高い。
2003年から2021年までに約12倍に増加して、
全体の消費量の1割弱を占めるまで成長している。
そもそもアイリッシュウイスキーは、アメリカで禁酒法前はかなり消費されていた。
禁酒法によってダメージを受けたアイルランドの蒸留所は次々に閉鎖ししまう。
そしてアイリッシュウイスキーの生産量が減ってしまっていたが、
近年は徐々に生産量を増やしている。
アメリカでは根強くアイリッシュが人気のようだ。
・スコッチウイスキーの消費量
![スコッチウイスキーの消費量【アメリカ】
グラフ1](https://www.alcholog.com/wp-content/uploads/2023/03/9f3634cf033f61b4d52689a965552e69.jpg)
![スコッチウイスキーの消費量【アメリカ】
グラフ2](https://www.alcholog.com/wp-content/uploads/2023/03/52220610fe3c7911b92e679a0e4ced5c.jpg)
カテゴリーの中で唯一横ばいなのがスコッチである。
しかし内訳をみると高価格帯は増加している。
さらにシングルモルトの比率が2.5倍に増えている。
![スコッチウイスキーの消費量【アメリカ】
グラフ3](https://www.alcholog.com/wp-content/uploads/2023/03/b1c304b4322b36a233892507c40ffa44.jpg)
つまり、低価格のブレンデッドは減少しているが、
高価格のシングルモルトは増加しているということになる。
カテゴリー別の消費比率ではスコッチが15%、
アイリッシュが9%である。
アイリッシュの強い増加率がこのまま続けば、
シェアの逆転もあり得るかもしれない。
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![](https://www.alcholog.com/wp-content/uploads/2023/03/cc00aa317353f25d34af1bcb38acc1a9-300x183.jpg)
●あとがき
アメリカではライやアイリッシュの人気が急上昇中のようだ。
そのまま飲んだり、カクテルに使われたりして消費されている。
最近は日本でもアイリッシュをよく見かけるようになってきた。
日本はアメリカの影響を受けやすいため、
今後はライやアイリッシュのブームがくるかもしれない。
これらのカテゴリーに注目したい。