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     更新日:2022年10月24日

    文字数:約1600文字

     マデイラワインの造り方の特徴は、加熱熟成という独特の工程にある。
    マデイラワインの造り方を見てみよう。

    製造フロー

     マデイラワインは以下の工程順で造られる。
    発酵までは通常のワインと同じである。

    1. ブドウ栽培/収穫
    2. 除梗(じょこう)/破砕/搾汁
    3. 発酵
    4. 酒精強化
    5. 加熱熟成
    6. 熟成

    ブドウ栽培/収穫

    マデイラのブドウ栽培
    https://vinhomadeira.com/

     マデイラ島でのブドウ栽培は、主に急斜面で行われる。
    急斜面に作られた段々畑では、機械の導入が困難であり、
    いまだにほとんどが手作業で収穫されている。

    除梗(じょこう)/破砕/搾汁

     ブドウについている茎や果梗(かこう)も取り除く。
    同時に、収穫したブドウを軽く潰すことで、果汁(モスト)を得る。

    発酵

     得られた搾汁液(モスト)を容器に入れて発酵させる。
    酵母は生産者によって、自然酵母だったり、培養酵母だったりする。

    酒精強化

     発酵は、酵母がブドウの糖分をアルコールと二酸化炭素に分解して行われる。
    糖分がすべて分解される前に、蒸留酒を加えて発酵(酵母の働き)を止める。
    酵母はアルコール度数が高い環境では失活してしまうのである。

     残された糖分のおかげで、ブドウの甘さが保たれる
    蒸留酒の添加タイミングによって、ワインの甘さや辛さが決まる。
    添加されるのは、アルコール度数は96%のブドウの蒸留酒(グレープ・スピリッツ)である。

    酒精強化
    Engin AkyurtによるPixabayからの画像

     酒精強化の目的はいくつかある。
    シェリーやポートと同様に、アルコール度数を高めることで、長い航海に耐えるため
    ワインが航海中に酸っぱくなってしまうのを防ぐために、スピリッツが足されたとされる。

     または、過去にマデイラワインが過剰在庫を抱えた際に、保管場所を確保するため
    ワインを蒸留し量を減らし、その蒸留酒をワインに添加して保存性を高めたとされる。

    加熱熟成

     マデイラワイン独特の工程が加熱熟成である。
    他のお酒ではなかなか聞かない工程である。

    加熱
    Gerd AltmannによるPixabayからの画像

     発酵を終えたワインを加熱することで、急速に酸化を促すことが目的
    酸化が進むことで、酸味や甘味などが一気に凝縮される。

     長期間の航海でワインが美味しくなったことを再現するために、
    試行錯誤の末、加熱熟成という手法が生まれた。

     現在行われている加熱熟成方法は主に2つある。
    タンク内での人工的に加熱する『エストゥファ』と、
    太陽熱を利用した自然加熱の『カンテイロ』である。

    ・エストゥファ(ESTUFA)

    エストゥファ
    https://vinhomadeira.com/

     ステンレスタンクの壁面に巻かれた管にお湯を流し、人工的に温める方法
    ワインを45~50℃に保って、3ヵ月間熟成させる。
    その後、ゆっくりと常温に戻される。

     主に短期熟成品に使われる加熱熟成方法。
    以前は、樽を置いた部屋ごと温めており、この部屋のことをエストゥファと呼んだ。

    ・カンテイロ(CANTEIRO)

    カンテイロ
    https://vinhomadeira.com/

     ワインを木樽に詰め、倉庫の屋根に近い部屋で、太陽熱を利用して自然に温める方法
    常春の島といわれるマデイラ島の平均気温は約20℃。
    この環境下でゆっくりと最低2年間、加熱熟成させる。

     主に長期熟成品に使われる加熱熟成方法。
    カンテイロとは、熟成用の樽の下に敷かれた角材に由来する。

    熟成

     マデイラワインの多くはブレンドされて熟成される。
    熟成最低年数は3年である。

     長期熟成に向いているか、単一品種にできるかなどの判断がされて熟成に進む。
    熟成の上限はなく、40年、50年以上のものや、長いものでは100年を超えるものもある。

    あとがき

     マデイラワイン独特の加熱熟成は、他のお酒では聞いたことがない。
    加熱のコストを考えると、九州南部や沖縄などでできそうな気がする。

     実は日本酒で加熱熟成を行っているものがある。
    秋田酒類製造の「高清水 加熱熟成解脱酒」である。
    2017年から発売されているこの商品は、6カ月の加熱熟成を行っているようである。
    ワインではないが、このような取り組みは、新しい可能性を生み出すので、期待したい。



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