ビールと酵母

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酵母の概要

菌培養
nadya_ilによるPixabayからの画像

 直径5~10ミクロンの微生物である酵母は、キノコやカビと同じ真菌の仲間である。
酵母はブドウ糖や麦芽糖をアルコールと炭酸ガスに分解する
酵母の種類によって、ビアスタイルは大きく異なる。

 ビール酵母には、上面発酵酵母(エール)下面発酵酵母(ラガー)
また自然に存在する野生酵母がある。
用いる酵母により、ビール香りや味は大きく特徴づけられる。

 ビール1リットル造るのに約600億もの酵母が働いている。
各社は数百~数千にも及ぶ酵母をストックし、
その中からビアスタイルに合った最適な酵母を選択している。

上面発酵

発酵槽
cerdadebbieによるPixabayからの画像

 上面発酵酵母を使ったものはエールと呼ばれ、
発酵温度は15~25℃で、発酵期間は3~5日と短い。

 酵母の働きが活発なので、華やかな香りを持つ。
学名はサッカロマイセス・セレビシエ。
発酵が進むと麦汁の上部に酵母が炭酸とともに浮き上がる性質がある。

下面発酵

 下面発酵酵母を使ったものはラガーと呼ばれ、
発酵温度は10℃前後で、発酵期間は7~10日ほど。

 酵母が全面的に動かないので、スッキリした味になる。
学名はサッカロマイセス・パストリアヌス。
麦汁の下部に集まりやすい。

 下面発酵酵母の発見は15世紀と上面発酵酵母よりも新しいが、
低温で発酵するため雑菌が繁殖しにくい。
安定して大量生産できることから、世界の主流がラガーである。

自然発酵

蔵付き
Peter HによるPixabayからの画像

 野生酵母を使って行う発酵方法。
いわゆる蔵付酵母のことである。
1~3年以上の年月をかけて発酵、熟成させる。

 酸味が強く、個性が際立つ。
その土地ならではの独創性を出せる。

あとがき

 酵母が微生物であることがまだ発見される前は、発酵槽の表面に浮かんでいる泡を集めて、
次のビールの仕込みに使っていたらしい。
「なんだかよくわからないけど、表面に出てくるの泡を使えば、また同じように造れるぞ」と
いう感じだったのだろうか。
当時は純粋培養もまだない時代だから、雑菌が入ったりしもするし、
安定した品質のビールを造ることに苦労していたのだろう。
酵母が発見されて、純粋培養ができるようになり、冷たいビールが当たり前のように飲めることを感謝しよう。




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