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『自由と解放のカクテル』【クバ・リブレ(キューバ・リバー)】

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文字数:約2500文字

 コーラを使ったカクテルの傑作といえば、『クバ・リブレ』だろう。
ラムとコーラの相性が抜群のカクテルです。

 似たカクテルとして、『ラム・コーク』がある。
クバ・リブレとラム・コークの違いや、レシピ、誕生背景を説明しよう。

クバ・リブレ

●クバ・リブレのレシピ

 材料/レシピ

  • ホワイト・ラム・・・・40ml
  • ライム・ジュース・・・10ml
  • コーラ・・・・・・・・適量
  1. 氷を入れたグラスに材料を注ぎ、軽くステアする
    ※ステアはコーラの炭酸が抜けないように優しくおこなう
  2. お好みでカットライムやミントを飾ってもよい

 クバ・リブレはコーラの甘さに、ラムの持つサトウキビ由来の風味、
ライム・ジュースの酸味がベストバランスである。

 ホワイト・ラムはキューバ産が望ましいが、なければ他国産でもOK。
生ライムを搾って、そのままグラスに入れてもよい。
コーラは『コカ・コーラ』以外に、ペプシやクラフトでも問題ない。

●クバ・リブレの誕生背景

 クバ・リブレは米西戦争後のキューバで誕生した。
まず簡単に米西戦争の話しをしよう。

・米西戦争を簡単に説明

キューバの町
Anne and Saturnino MirandaによるPixabayからの画像

 当時キューバはスペインの植民地であり、国内では独立運動が激化していた。
1898年2月にアメリカの軍艦メイン号がハバナ港で爆沈する(メイン号事件)。
原因は定かではないが、メディアはスペインの仕業と報じ、
アメリカ国内で反スペインの気運が高まる。

 そして4月にアメリカはスペイン軍の撤退を要求し、
スペインがこれに応じなっかたことから米西戦争が始まる。
アメリカはキューバやフィリピンなど複数のスペイン植民地を攻撃し、
スペイン軍を降伏に追い込む。

 8月には停戦状態となり、12月にパリで条約に調印され、終戦となる。
勝利したアメリカはスペイン植民地だったフィリピン、グアム、プエルトリコを獲得。
キューバを保護国とし、事実上の支配下とした。
その後、キューバが独立するのは1902年である。

 ちなみに、コカ・コーラの誕生は1886年であり、
瓶詰めコーラが販売されるようになったのは1894年である。

 さて、ここからは米西戦争と関係するクバ・リブレの誕生を説明しよう。

Por Cuba libre!(自由なキューバのために!)

カットライム
congerdesignによるPixabayからの画像

 これは世界的スピリッツメーカーであるバカルディ社が主張する説である。
バカルディ社はキューバでのラム製造から始まった企業で、
クバ・リブレの誕生には自社のラムが使われたと主張している。

 戦後のキューバには多くのアメリカ兵が駐屯していた。
1900年、アメリカ陸軍通信部隊のラッセル大尉はハバナのバーで、
バカルディ・ラム、コカ・コーラ、ライム果汁のカクテルを注文する。
このカクテルは周囲の客の注目を集めた。
そして大尉はみんなで乾杯をする掛声を発する。

Por Cuba libre!(自由なキューバのために!)」

これによりこのカクテルが「クバ・リブレ」と呼ばれるようになった。

 バカルディが推奨するオリジナル・レシピはゴールド・ラムを使う

 材料/レシピ

  • バカルディ・ゴールド・ラム・・・・50ml
  • ライム・ウェッジ(くし切り)・・・2個
  • 瓶入りコカ・コーラ・・・・・・・・100ml
  1. ハイボール・グラスに氷を入れライムを1個搾り、そのままグラスに入れる
  2. バカルディ・ラム、冷えたコーラの順に注ぐ
  3. 軽くステアし、残りのライムをグラスに飾る

 この説はバカルディ社の宣伝だという疑念を持つ人もいる。
100年以上前の話しなので真実はわからない。
よく聞く「Viva Cuba libre!(自由なキューバ万歳!)」は
独立を主張するためのスローガンである。
バカルディ社の説とは微妙に言葉が違う。

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・正しいカクテル名は?クバ・リブレ or キューバ・リブレ

言語
wal_172619によるPixabayからの画像

 クバ・リブレ、クーバ・リブレ、キューバ・リブレ、キューバ・リバー。
このような呼び方をされるが、どれも間違いではない。

 cuba libreはスペイン語である。
cubaはクーバと発音される。
例として、キューバ南東部の都市サンティアゴ・デ・クーバ(Santiago de Cuba)がある。
libreはここでは形容詞の「自由な」と訳す。

 cubaを英語読みするとキューバである。
ここまではよいのだが、問題はリバーである。

 スペイン語のlibreからリバーは英語のlibertyだろう。
libertyは「自由」という意味である。
キューバ・リバティーを短縮してキューバ・リバーとしたのだろうか。
発音から「river」と勘違いしている人もいるが、これでは「川」になる。
調べたが「キューバ川」という名の川は存在しない。

 日本ではどれでも通じるが、言語をまとめるとこのようになる。

  • ク(ー)バ・リブレ cuba libre  スペイン語
  • キューバ・リブレ cuba libre  英語+スペイン語
  • キューバ・リバー cuba liberty 英語

 残りの組み合わせとしては「クバ・リバー」だが、これは聞いたことがない。
やはり言語のごちゃまぜは違和感がある。
おすすめは現地のスペイン語である「ク(ー)バ・リブレ」である。

●クバ・リブレとラム・コークの違い

ラム・コーク
JonasによるPixabayからの画像

 明確な定義はないので、一般的なはなしになるが、
クバ・リブレはライムを使い、ラム・コークは柑橘を使っても使わなくてもよい
つまり、ラム・コークのほうが自由度が高い。

 ややこしいのはラム・コークでライムを使った場合だが、
どちらの名前を使うかは作り手が決めればよいのである。

 クバ・リブレとラム・コークを比較表にまとめた。

  クバ・リブレ    ラム・コーク  
 ラ ム キューバ産自由
 コーラ コカ・コーラ自由
 柑 橘 ライム自由

 ラム・コークはレモンが使われることが多い。
ラムは熟成ものやスパイストも使われる。
自由を象徴するカクテル「クバ・リブレ」よりも、
ラム・コークのほうが自由なのはおもしろい。

●あとがき

 クバ・リブレは材料も少なく、自宅でも簡単に作れる。
ラム、コーラ、ライムのそれぞれをこだわると、意外と組み合わせは多い。
自分好みのクバ・リブレを探すのも楽しいだろう。

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