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テキーラには、名門と呼ばれるメーカーがいくつかある。
当然、日本でもよく知られているブランドなので、その成り立ちなどを見てみよう。
●サウザの基本情報
『SAUZA』は日本で[サウザ]と読まれているが、
本来は「サウサ」が正しい。
●テキーラの名門サウザ家
古くからテキーラを支え続けてきたサウザ家は、
現在もさまざまに展開して、テキーラを発展させ続けている。

・サウザ家の歴史
- 1873年
ホセ・セノビオ・サウザ(Jose Cenobio Sauza)(初代)が
ハリスコ州テキーラ村の「ラ・アンティグア・クルス蒸留所」を買収し、
1888年に「ラ・ペルセベランチャ蒸留所(La Perseverancia)」に改名する。
「メスカル・デ・テキーラ」を短縮して「テキーラ」として
アメリカに輸出したことで、テキーラの名前が広まった。
セノビオはクエルボ社で帳簿係を務めており、そこでテキーラの知識を身につけた。 - 1903年
息子のエラディオ・サウザ(Eladio Sauza)(2代目)が跡を継ぎ、
それまで一般的だった樽売りを、瓶売り中心に変え、事業基盤を固める。
エラディオは2つ目の蒸留所「ラ・コンスタンシア蒸留所(La Constansia)」を建設する。 - 1946年
エラディオの息子、フランシスコ・ハビエル・サウザ
(Francisco Javier Sauza)(3代目)が跡を継ぎ、
テキーラの原産地呼称に尽力する。
ハビエルは3つ目の蒸留所「ラ・フォルタレサ蒸留所(La Fortaleza)」を建設する。
高級化戦略で1950年にオルニートス(HORNITOS)を発売。 - 1974年
テキーラの原産地呼称が成立する。 - 1976年
ハビエルが病によって経営困難となり、2つの蒸留所とサウザブランドを
スペインのペドロ・ドメック社に売却する。
その後、提携や売却を繰り返し、現在はサントリー・グローバル・スピリッツを擁する
サントリーの傘下となっている。
3つの蒸留所名の意味は以下である。
ラ・ペルセベランチャ:忍耐、努力
ラ・コンスタンシア :根気、粘り強さ
ラ・フォルタレサ :不屈、精神的強さ
・続くサウザの血脈
サウザのブランドはサウザ家の管理を離れたが、
サウザの血脈はテキーラと関わり続けている。
-サウザ家4代目
4代目にあたるルピータ・サウザは独自ブランド
「La cuarta generación(ラ・クアルタ・ヘネラシオン)」を手掛ける。
ブランド名は「4代目」を意味する。

-サウザ家5代目

さらに5代目にあたるギレルモ・エリクソン・サウザも独自ブランド
「FORTALEZA(フォルタレサ)」を手掛ける。
ボトルキャップがアガベの球茎(ピニャ)の形をしているのが特徴的。
メキシコ国内向けには「ロス・アブエロス」と言うブランド名で展開している。
フォルタレサ蒸留所は、1968年に操業を停止し、
博物館としてサウザ家が運営していた。
この蒸留所をギレルモが1999年に再興し、2005年に「フォルタレサ」を発売する。
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●サウザブランド
サウザの定番ブランドを紹介しよう。
・サウザ シルバー/ゴールド
テキーラのド定番ブランドである。
初めて飲むテキーラはクエルボかサウザという人も多いだろう。
テキーラベースのカクテルにもよく使われている。
ミクストテキーラであるため、飲みやすく、テキーラ入門に最適。
・サウザ ブルー/レポサド
サウザの看板商品である、100%アガベテキーラ。
テキーラらしさをしっかり味わうのにとても良い。
ミクストのシルバーやゴールドと飲み比べてみると、味わいの違いがわかりやすい。
・サウザ スリー・ジェネレーション(トレス・ヘネラシオネス)
創業者のセルビオ、2代目のエラディオ、3代目のハビエルの
サウザ家「3世代」を讃えて、造られた製品。
3人の肖像画がラベルに描かれている。
アガベ100%を3回蒸留することで、ピュアでスムースな味わい。
・サウザ以外の関連ブランド
上記した4代目と5代目のブランドも紹介しよう。
-ラ・クアルタ・ヘネラシオン
4代目のルピータ・サウザが手掛ける独自ブランド。
現在は生産していないようである。
-フォルタレサ
5代目のギレルモ・サウザが手掛ける独自ブランド。
伝統的な手法で丁寧に時間をかけて造られるプレミアム・テキーラ。
●あとがき
一度は途切れてしまったサウザ家が手掛けるテキーラは、
現在のフォルタレサに受け継がれている。
創業家の歴史を追いかけるのも面白いものである。