• お酒全般の情報ブログ

     更新日:2022年9月26日

    文字数:約1800文字

     シェリーの造り方は、辛口か極甘口かで大きく変わる。
    ここでは極甘口シェリーの造り方を紹介する。
    甘口シェリーは、辛口シェリーをベースにブレンドされて造られる。

    極甘口シェリーの造り方

    ・製造フロー

     極甘口シェリーは以下の工程順で造られる。
    天日干しされることのが、大きな特徴である。

    1. ブドウ栽培/収穫
    2. 天日干し
    3. 除梗(じょこう)/破砕/搾汁
    4. 発酵
    5. 酒精強化
    6. 熟成

    ブドウ栽培/収穫

     極甘口シェリーに使われるブドウは、ペドロ・ヒメネス種と、モスカテル種の2種である。
    ブドウ栽培地域は限定されており、その多くがアルバリサと呼ばれる、
    炭酸カルシウムと二酸化珪素の多い、白い土壌で栽培される。

    関連記事:シェリーの定義

    天日干し

    ブドウ天日干し
    https://www.sherry.wine/jp

     天日干しの工程はソレオと呼ばれる
    収穫したブドウを、エスパルトという草で作ったござの上に広げ、天日にさらす。

     天日干しは1~2週間程度続けられる。
    夜間はブドウが夜露に濡れないよう、カバーをかける。

     天日干しされることで、ブドウは干しブドウとなり、甘味、濃度、粘りが増す

     似た製法として、イタリアの「パッシート」や「レチョート」があるが、これらは陰干しであり、
    極甘口シェリーの場合は、天日干しであるという違いがある。

    除梗(じょこう)/破砕/搾汁

     干しブドウの状態での搾汁は、通常よりも時間がかかる。
    潰すことで得られる果汁(モスト)は、粘土が高く、ドロッとしており、色も濃い
    そしてなによりも甘味が強い

    発酵

     発酵途中で、蒸留酒(グレープ・スピリッツ)を加えて、発酵を止める
    糖分を残すことで、甘さを保持できる

     蒸留酒を加えることで、アルコール度数は10%程度になる。
    その後、静置し、澱引きを行う。

    酒精強化
    Полина АндрееваによるPixabayからの画像

    ⑤酒精強化

     澱引きを終えたワインに、蒸留酒が加えられる。
    酒精強化に使われる蒸留酒は、ブドウ由来でなければならない。
    それは、高アルコール度数のブランデー(グレープ・スピリッツ)や、
    ブランデーに白ワインを混ぜてアルコール度数を抑えたものなどが使われる。

     酒精強化によって、アルコール度数が15~17%に高められる

    熟成

     酒精強化されたワインは、樽に詰められ、動的熟成と呼ばれるソレラ・システムに組み込まれる。

    ・ソレラ・システム

    ソレラ・システム
    https://www.sherry.wine/jp

     ソレラ・システムとは、一番古い樽から出荷し、減った分を二番目に古い樽から補充し、
    二番目の減った分を三番目から補充し、、、という仕組みである。

     一番古い樽をソレラとよび、その上を第1クリアデラ、第2クリアデラ、第3、、、となる。
    ソレラの語源は、一番床に近いので、スペイン語の「床」を意味するスエロからきている。
    クリアデラは、「育児所」という意味で、「育てる」というクリアールからきている。

     最も若い樽はソブレタブラと呼ばれ、「板の上」という意味で、
    ソレラに入る前に板の上に置かれることから。

     ソレラ・システムの利点は、品質を安定させることができる点にある。
    異なる年の樽を複数混ぜることで、品質を均一化し、安定性を維持できる

     ソレラ・システムは、一部のラム酒でも使われている。
    似た仕組みとして、泡盛の「仕次」がある。

    甘口シェリーのつくり方

    シェリーの種類
    https://www.sherry.wine/jp

     甘口シェリーは、辛口シェリーに極甘口シェリーや濃縮精留果汁(MCR)をブレンドして造られる。
    極甘口シェリーは、プルーン・エキスのように濃い色のため、ブレンドすると色も味も濃くなる。

     MCRは、透明に近い色合いで、ブレンドしても濃色にならず、味わいも重くならない。
    また、MCRはアルコールを含まないため、ブレンドするとアルコール度数を下げることができる。

    M.C.R.(Mosto Concentrado Rectificado)

     MCRは、ブドウ濃縮果汁をイオン交換樹脂で精製し、
    その後、フィルター処理と低温加熱殺菌処理が行われて造られる。

     無色に近く、MCR単体ではわずかな甘味があるくらい。
    しかしブレンドに使うと、しっかりとした甘味が現れる。

     MCRは、シャンパーニュの補糖(ドサージュ)にも用いられる。

    あとがき

     甘口ワインにもいろいろあるが、おそらく極甘口シェリーが最も甘味とコクが強いのではないだろうか。
    コクのある甘味と、とろっとした粘りが至福である。
    見かけたら是非、デザートとして味わっていただきたい。



    SNSシェア