ワインの分類

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 ワインは製造方法で4つに分類することができる。
スティルワイン、スパークリングワイン、フォーティファイドワイン、フレーバードワインである。
ただし、すべての基軸となるのはスティルワインである。

ワインの分類

●スティルワイン

 スティルワインとは、赤、白、ロゼでなじみのある普通のワインのこと。
「スティル」は、「静かな」という意味
これは発泡して音がするものに対して、発泡しないから静かということである。
厳密には、微発泡のものはスティルワインに含まれる。
日本だと0.5気圧未満、海外だとおおむね1気圧未満もの。

赤ワイン
Arek SochaによるPixabayからの画像

 特殊なものとして、貴腐ブドウを使った貴腐ワインや、
凍結ブドウを使ったアイスワインもスティルワインに含まれる。

●スパークリングワイン

 名前の通り、発泡性があるワインのこと。
有名なものとしてはフランスのシャンパン、スペインのカヴァ、イタリアのスプマンテなどがある。

シャンパン
S. Hermann & F. RichterによるPixabayからの画像

 シャンパンはフランスでもシャンパーニュ地方で造られたものだけが名乗ることができる。
さらに甘辛さで数段階に分けられている。
その他の地域では発泡の強さで「ヴァン・ムスー」「クレマン」「ペティヤン」と呼ばれる。

 スペインやイタリア、ドイツでも発泡の強さや、造り方で呼び名が変わる。

●フォーティファイドワイン

 フォーティファイドワインとは、酒精強化ワインのこと。
「酒精」とはアルコールのことであり、
つまり酒精強化とはアルコール度数を高めたワインということになる。
有名なものとして、スペインのシェリー、ポルトガルのポート、
マデイラ、イタリアのマルサラなどがある。

輸送船
Maike und Björn BröskampによるPixabayからの画像

 造り方は、スティルワインに蒸留酒(主にブランデー)を添加して度数を高める。
添加のタイミングは、ブドウの発酵途中や発酵後であり、これにより味わいが変わる。
発酵はブドウの持つ糖分をアルコールと二酸化炭素に分解することで進むが、
蒸留酒を添加してアルコール度数を高めると酵母の働きが止まり、発酵がストップする。
発酵を途中でストップさせると分解されずに残った糖分により、甘い味わいになる。

 歴史背景としては、輸送時の腐敗対策としてアルコール度数が高められた。
似た話で、ビールでもホップとアルコール度数を高めたものがある。

●フレーバードワイン

 フレーバードワインは、スティルワインに果物やハーブで香り付けをしたもの。
有名なものとして、イタリアのヴェルモット、カンパリ、スペインのサングリアなどがある。
地域や家庭で造られていたものが製品化した。

サングリア
kan chansathyaによるPixabayからの画像

 ワインの保存性を高めるためや、出来の悪かったワインを飲みやすくするため、
逆に飲みにくい薬草を飲むためなどの理由で広まった。
現代でも苦みの強いものや、独特の味わいのあるものはカクテルのアクセントによく使われる。
カクテルの王様マティーニは、ジンとヴェルモットからつくられる。

●あとがき

 分類が多いのもワインの特徴の一つである。
同じ醸造酒であるビールや日本酒と比べても多い。
特にフレーバードワインのように、単独製品として派生していることが素晴らしい。
ワインは原料であるブドウの出来に左右される部分が大きい。
不出来だったとしても、神聖視されているワインを無駄にはできないという、
思想の表れによるものなのかもしれない。



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