更新日:2022年9月14日
文字数:約1300文字
ワインは製造方法で4つに分類することができる。
スティルワイン、スパークリングワイン、フォーティファイドワイン、フレーバードワインである。
ただし、すべての基軸となるのはスティルワインである。
スティルワインとは、赤、白、ロゼでなじみのある普通のワインのこと。
「スティル」は、「静かな」という意味。
これは発泡して音がするものに対して、発泡しないから静かということである。
厳密には、微発泡のものはスティルワインに含まれる。
日本だと0.5気圧未満、海外だとおおむね1気圧未満もの。
特殊なものとして、貴腐ブドウを使った貴腐ワインや、
凍結ブドウを使ったアイスワインもスティルワインに含まれる。
名前の通り、発泡性があるワインのこと。
有名なものとしてはフランスのシャンパン、スペインのカヴァ、イタリアのスプマンテなどがある。
シャンパンはフランスでもシャンパーニュ地方で造られたものだけが名乗ることができる。
さらに甘辛さで数段階に分けられている。
その他の地域では発泡の強さで「ヴァン・ムスー」「クレマン」「ペティヤン」と呼ばれる。
スペインやイタリア、ドイツでも発泡の強さや、造り方で呼び名が変わる。
フォーティファイドワインとは、酒精強化ワインのこと。
「酒精」とはアルコールのことであり、
つまり酒精強化とはアルコール度数を高めたワインということになる。
有名なものとして、スペインのシェリー、ポルトガルのポート、
マデイラ、イタリアのマルサラなどがある。
造り方は、スティルワインに蒸留酒(主にブランデー)を添加して度数を高める。
添加のタイミングは、ブドウの発酵途中や発酵後であり、これにより味わいが変わる。
発酵はブドウの持つ糖分をアルコールと二酸化炭素に分解することで進むが、
蒸留酒を添加してアルコール度数を高めると酵母の働きが止まり、発酵がストップする。
発酵を途中でストップさせると分解されずに残った糖分により、甘い味わいになる。
歴史背景としては、輸送時の腐敗対策としてアルコール度数が高められた。
似た話で、ビールでもホップとアルコール度数を高めたものがある。
フレーバードワインは、スティルワインに果物やハーブで香り付けをしたもの。
有名なものとして、イタリアのヴェルモット、カンパリ、スペインのサングリアなどがある。
地域や家庭で造られていたものが製品化した。
ワインの保存性を高めるためや、出来の悪かったワインを飲みやすくするため、
逆に飲みにくい薬草を飲むためなどの理由で広まった。
現代でも苦みの強いものや、独特の味わいのあるものはカクテルのアクセントによく使われる。
カクテルの王様マティーニは、ジンとヴェルモットからつくられる。
分類が多いのもワインの特徴の一つである。
同じ醸造酒であるビールや日本酒と比べても多い。
特にフレーバードワインのように、単独製品として派生していることが素晴らしい。
ワインは原料であるブドウの出来に左右される部分が大きい。
不出来だったとしても、神聖視されているワインを無駄にはできないという、
思想の表れによるものなのかもしれない。