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ジンと関わりの深いカクテルを紹介する。
ギムレットは定番カクテルとして多くの人に知られている。
ギムレットのレシピや、誕生背景を見ていこう。

●ギムレットのレシピ
材料/レシピ
- ドライジン・・・・・・・45ml
- ライムジュース・・・・・15ml
- シュガーシロップ・・・・1tsp
- 材料と氷をシェーカーに入れ、シェイクする
- カクテルグラスに注ぐ
ジンの風味とラムジュースの酸味がすっきりとした味わいを生み出す。
とてもシンプルだが、奥が深く、人気の定番カクテル。
現在ではシュガーシロップを入れるのが一般的になっているが、当初は入れていなかった。
レシピがシンプルなだけにアレンジされることも多い。
●ギムレットの誕生背景
ギムレットの誕生背景と、世界中に広まった経緯を紹介しよう。
・ギムレットと壊血病
ギムレットが誕生した背景には、壊血病予防が関係している。
壊血病とは、ビタミンCが不足することで起きる血液疾患である。
別名ビタミンC欠乏症とも呼ばれている。

17世紀のイギリス海軍では、遠征中に多くの海兵が体調不良を訴えた。
その症状は、毛細血管が弱くなることで出血が起こりやすくなるというもの。
原因は船上での食事にビタミンCが不足していることだった。
1614年にイギリス東インド会社の医務長官だったジョン・ウッドールが、
解決策としてレモンやライムなどの柑橘類の摂取を海軍に提案した。
そして、ビタミンCを摂取するようになると、壊血病の症状は現れなくなった。
ビタミンCを摂取することが壊血病予防となる立証したのが、
海軍軍医のジェームス・リンドである。
リンドは1747年に世界初となる臨床試験を行い、柑橘類の効果を確認した。

船に積み込まれる柑橘類はライムが主流だった。
理由は、レモンやオレンジの生産国とイギリスが戦争をしていたためである。
ライムは当時のイギリス領である東インドで豊富に採れた。
そして、ライムはコーディアル・ライム・ジュースに加工されて船に積み込まれた。
コーディアルとは、搾った果汁に砂糖などを加えたものである。
生のライムでは、長期保存が難しかったことや場所を取るためである。
・ギムレット誕生

1879年から1913年までイギリス海軍医を務めたトーマス・D・ギムレットは、
コーディアル・ライム・ジュースの摂取法して、ジンに混ぜて飲むことを推奨した。
ジンはイギリスを代表するお酒で、海軍に支給されていた。
この時点ではカクテルの『ジン・ライム』のほうが近い。
船員達が町に戻った際に、ジンとライムのカクテルとして軍医ギムレットの名で広めた。
そのさなかに、レシピがシェイクすることになり、現在のギムレットが誕生する。
ギムレットは「錐(きり)」を意味する。
鋭い飲み口からギムレットと呼ばれるようになったという説もあるが、
軍医ギムレットのほうが有力だろう。
-ジン・ライム
ジン・ライムのレシピも紹介しておく。
ジン・ライムはギムレットのシェイクをビルドに変えたものである。
とてもシンプルなので家庭でも簡単に作れる。
材料/レシピ
- ドライジン・・・・・・・45ml
- ライムジュース・・・・・15ml
- シュガーシロップ・・・・1tsp
- オールド・ファッションド・グラスに氷と材料を注ぎ、ステアする
- お好みでスライス・ライムを飾ってもよい
シェイクをしていないため、ギムレットよりも強く感じる。
辛口を好むなら、シュガーシロップなしでも良い。
元々はジンとライムジュースのみだった。
・「ギムレットには早すぎる」のセリフが有名

カクテル『ギムレット』の名を世界中に広めたのは、小説だった。
米作家レイモンド・チャンドラーによる1953年刊行の
『長いお別れ(The Long Goodbye)』である。
ハードボイルド小説である「長いお別れ」で、
主人公フィリップ・マーロウとの友情を裏切った男が、
再会時に口にした「ギムレットには早すぎる」というセリフが有名。
これによりギムレットは定番カクテルの地位を盤石にした。


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●あとがき
ギムレットはもともと、壊血病予防という実務的な面があった。
ジンとライムの組み合わせが絶妙だったからこそ、船員が陸に降りてからも飲み続けたのだろう。
ジンの種類が増えた現在では、様々なジンでギムレットを飲むのも楽しい。