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日本酒の消費量は東で多く、西で少ないといわれる。
つまり東高西低である。
その中でもどの地域が多く、どの地域が少ないのだろうか。
『都道府県別』と『都市別』のデータから、
どこでどのくらい日本酒が消費されているのかをまとめた。
日本酒は「清酒」と「合成清酒」の消費量を足したものとした。
データは2カ所から得ている。
『都道府県別』の一人当たりの消費量は国税庁、
『都市別』に二人以上の世帯の消費量は総務省である。
国税庁のデータがまだ2023年(令和5年)までしかないので、
総務省のデータも2023年に合わせた。
今ある総務省の2024年データも下記にまとめている。
●『都道府県別』『都市別』日本酒消費量ランキングTOP5

まずそれぞれの日本酒の消費量ランキングTOP5である。
地域でみるとやはり東日本が多くランクインしている。
都道府県別の一人当たりの消費量1位は新潟県である。
新潟県では成人一人当たり8.44Lの日本酒を消費している。
2位は秋田県で7.41L、3位は山形県で6.59Lである。
TOP3は日本海側の東北地域が占めている。
4位は太平洋側の東北である福島県で6.02L、
5位は北陸地域の富山県で5.88Lである。
都市別の二人以上の世帯の消費量1位は秋田市である。
秋田市では10.91L消費している。
2位は和歌山市で9.37L、近畿で唯一のTOP5入り。
3位は長野市で8.54L、4位は新潟市で8.13L、
5位は福井市で7.75Lである。
都市別の二人以上の世帯の消費額1位は秋田市である。
秋田市では11,276円を日本酒に消費し、2位と大差である。
2位は新潟市で8,591円、3位は盛岡市で7,710円、
4位は長野市で7,549円、5位は甲府市で7,508円。
都市別データでは消費量と消費額で順位が一致しているとは限らない。
この結果をグラフにまとめるとわかりやすくなる。
●『都道府県別』『都市別』日本酒消費量データ
ランキングTOP5以外も気になるだろう。
以下が各データ表とランキング順のグラフである。
| 都道府県 | 一人当たりの 日本酒消費量[L] | 順位 | 都市 | 二人以上の世帯の 日本酒消費量[L] | 順位 |
|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 4.07 | 23 | 札幌市 | 4.49 | 38 |
| 青森県 | 5.28 | 11 | 青森市 | 5.07 | 30 |
| 岩手県 | 5.34 | 9 | 盛岡市 | 7.74 | 6 |
| 宮城県 | 4.91 | 12 | 仙台市 | 7.41 | 8 |
| 秋田県 | 7.41 | 2 | 秋田市 | 10.91 | 1 |
| 山形県 | 6.59 | 3 | 山形市 | 6.07 | 18 |
| 福島県 | 6.02 | 4 | 福島市 | 7.01 | 10 |
| 茨城県 | 3.77 | 31 | 水戸市 | 6.74 | 12 |
| 栃木県 | 3.92 | 26 | 宇都宮市 | 6.61 | 13 |
| 群馬県 | 3.75 | 29 | 前橋市 | 5.73 | 21 |
| 埼玉県 | 3.55 | 34 | さいたま市 | 4.01 | 40 |
| 新潟県 | 8.44 | 1 | 新潟市 | 8.13 | 4 |
| 長野県 | 5.48 | 7 | 長野市 | 8.54 | 3 |
| 千葉県 | 3.39 | 39 | 千葉市 | 7.44 | 7 |
| 東京都 | 4.33 | 19 | 東京都区部 | 5.31 | 25 |
| 神奈川県 | 3.20 | 42 | 横浜市 川崎市 相模原市 | 7.06 5.93 7.28 | 9 – – |
| 山梨県 | 4.24 | 21 | 甲府市 | 6.03 | 19 |
| 富山県 | 5.88 | 5 | 富山市 | 6.56 | 14 |
| 石川県 | 5.68 | 6 | 金沢市 | 6.29 | 16 |
| 福井県 | 5.25 | 10 | 福井市 | 7.75 | 5 |
| 岐阜県 | 4.35 | 17 | 岐阜市 | 3.33 | 46 |
| 静岡県 | 3.73 | 33 | 静岡市 浜松市 | 5.21 5.05 | 26 – |
| 愛知県 | 2.92 | 43 | 名古屋市 | 5.53 | 24 |
| 三重県 | 4.06 | 24 | 津市 | 4.06 | 39 |
| 滋賀県 | 3.72 | 30 | 大津市 | 4.72 | 34 |
| 京都府 | 4.60 | 15 | 京都市 | 6.90 | 11 |
| 大阪府 | 3.35 | 40 | 大阪市 堺市 | 5.04 4.63 | 31 – |
| 兵庫県 | 3.68 | 32 | 神戸市 | 3.94 | 42 |
| 奈良県 | 3.81 | 27 | 奈良市 | 5.68 | 23 |
| 和歌山県 | 4.31 | 20 | 和歌山市 | 9.37 | 2 |
| 鳥取県 | 5.02 | 14 | 鳥取市 | 5.15 | 28 |
| 島根県 | 5.33 | 8 | 松江市 | 5.20 | 27 |
| 岡山県 | 3.58 | 36 | 岡山市 | 4.99 | 32 |
| 広島県 | 4.07 | 22 | 広島市 | 6.51 | 15 |
| 山口県 | 3.99 | 25 | 山口市 | 5.86 | 20 |
| 徳島県 | 3.83 | 28 | 徳島市 | 4.81 | 33 |
| 香川県 | 4.37 | 18 | 高松市 | 6.10 | 17 |
| 愛媛県 | 3.64 | 35 | 松山市 | 4.54 | 37 |
| 高知県 | 4.38 | 16 | 高知市 | 3.96 | 41 |
| 福岡県 | 3.34 | 41 | 福岡市 北九州市 | 5.71 3.99 | 22 – |
| 佐賀県 | 4.83 | 13 | 佐賀市 | 3.80 | 43 |
| 長崎県 | 3.55 | 37 | 長崎市 | 4.61 | 35 |
| 熊本県 | 2.56 | 44 | 熊本市 | 4.60 | 36 |
| 大分県 | 3.55 | 38 | 大分市 | 5.09 | 29 |
| 宮崎県 | 2.14 | 45 | 宮崎市 | 3.62 | 44 |
| 鹿児島県 | 1.21 | 46 | 鹿児島市 | 3.40 | 45 |
| 沖縄県 | 1.12 | 47 | 那覇市 | 1.46 | 47 |
以下がランキング順のグラフである。

●『都市別』日本酒の消費量と消費額(二人以上の世帯)

これは都市別の日本酒の消費量と消費額をグラフにしたものである。
縦軸が消費額、横軸が消費量である。
データは総務省の家計調査を利用した。
日本酒の消費データは、総世帯や単身世帯はなく、二人以上の世帯しかない。
本来なら、総世帯でみたいのだが、ないものは仕方がない。
消費量と消費額は概ね比例していることがわかる。
消費量、消費額ともに秋田市がダントツである。
逆に那覇市はかなり低い位置にある。
秋田市と那覇市の差は、消費量は7.5倍、消費額は8.0倍である。
暖かい地域では日本酒はあまり消費されないのである。
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●『都道府県別』x『都市別』日本酒消費量

これは都道府県別の日本酒消費量と、
都市別の日本酒消費量をグラフにしたものである。
縦軸が都道府県別の日本酒消費量、
横軸が都市別の日本酒消費量である。
秋田と新潟が飛び抜けていることがわかる。
都道府県別でも都市別でも消費が多い。
和歌山は都市別の消費は多いが、
都道府県別での消費は全国よりもやや多いくらいである。
この年の突発的な数値なのだろうか。
●『都市別』日本酒消費量ランキング【2024】
ここまでは都道府県別のデータが2023年のものだったため、
都市別も2023年のものを使用した。
都市別のデータは2024年のものが公開されているのでランキングを記載する。
()は2023年の順位である。
| 順位 | 都市 | 消費量[L] |
|---|---|---|
| – | 全国 | 5.68 |
| 1 | 福島市(10) | 11.76 |
| 2 | 新潟市(4) | 9.01 |
| 3 | 山形市(18) | 8.76 |
| 4 | 仙台市(8) | 8.54 |
| 5 | 富山市(14) | 8.48 |
| 6 | 神戸市(42) | 8.15 |
| 7 | 奈良市(23) | 7.50 |
| 8 | 秋田市(1) | 7.47 |
| 9 | 甲府市(19) | 7.33 |
| 10 | 名古屋市(24) | 7.14 |
| 11 | 宇都宮市(13) | 6.76 |
| 12 | 岡山市(32) | 6.65 |
| 13 | 大津市(34) | 6.63 |
| 14 | 前橋市(21) | 6.58 |
| 15 | さいたま市(40) | 6.55 |
| 16 | 広島市(15) | 6.44 |
| 17 | 和歌山市(2) | 6.42 |
| 18 | 水戸市(12) | 6.39 |
| 19 | 松江市(27) | 6.22 |
| 20 | 青森市(30) | 5.92 |
| 21 | 長野市(3) | 5.80 |
| 22 | 福井市(5) | 5.79 |
| 23 | 高松市(17) | 5.58 |
| 24 | 横浜市(9) | 5.46 |
| 25 | 東京都区部(25) | 5.44 |
| 26 | 鳥取市(28) | 5.41 |
| 27 | 松山市(37) | 5.33 |
| 28 | 福岡市(22) | 5.19 |
| 29 | 札幌市(38) | 5.14 |
| 30 | 熊本市(36) | 4.80 |
| 31 | 千葉市(7) | 4.63 |
| 32 | 金沢市(16) | 4.46 |
| 33 | 盛岡市(6) | 4.43 |
| 34 | 静岡市(26) | 4.37 |
| 35 | 長崎市(35) | 4.23 |
| 36 | 佐賀市(43) | 4.11 |
| 37 | 京都市(11) | 4.01 |
| 38 | 大分市(29) | 3.99 |
| 39 | 岐阜市(46) | 3.80 |
| 40 | 大阪市(31) | 3.54 |
| 41 | 津市(39) | 3.52 |
| 42 | 鹿児島市(45) | 3.21 |
| 43 | 徳島市(33) | 3.19 |
| 44 | 山口市(20) | 2.90 |
| 45 | 高知市(41) | 2.82 |
| 46 | 宮崎市(44) | 2.58 |
| 47 | 那覇市(47) | 0.77 |
2023年と2024年では順位がガラッと変わっている。
2024年の1位は福島市で11.76Lである。
これは2023年1位の秋田市10.91Lよりも多い。
2023年に続いて、2024年もTOP5入りしたのは新潟市のみである。
これだけ激しく順位が変動するということは、
「東日本が・・・」や「寒い地域が・・・」、
などという傾向はなくなりつつあるのかもしれない。
ここまで日本酒の消費データを見てきたが、
年によって大きく変動することがわかっただろう。
ランキングも入れ替わりが激しく、結局のところ、
データはあくまで参考にしかならないということである。
いつの、どのデータをみるかによって、
結果は大きく違うということを知っていることが重要である。
●あとがき
日本酒は地域への浸透性が高く、人々の地酒へのおもいは強い。
だから、自分の地域が消費量や消費額で1位だったら歓び、
首位転落したら悔しがる人もいる。
日本古来からの伝統的なお酒である日本酒は地域に愛されてこそなのである。


