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住んでいる地域のビール消費量が多い(又は少ない)と聞いたことがあるだろうか。
しかし実際に調べてみると多く(又は少なく)はなかったという経験はないだろうか。
聞いた話しとは違う、なぜなのかと疑問に思う人もいるだろう。
その答えは、データの出処によるものだと考えられる。
都道府県別の一人当たりの消費量は国税庁が、
都市別の二人以上の世帯の消費量は総務省がデータを公開している。
今回、それらのデータをひとまとめにした。
これまでの疑問が解決し、新たな発見があるかもしれない。
ではデータを見ながら解説しよう。
国税庁のデータがまだ2023年(令和5年)までしかないので、
総務省のデータも2023年に合わせた。
●都道府県別、都市別 ビール消費量ランキングTOP5

まずそれぞれのビール消費量ランキングTOP5である。
都道府県別の一人当たりのビール消費量は、東京都がダントツで1位ある。
一人当たり年35.88Lなので、月換算すると約3L飲んでいることになる。
2位は北海道で26.90Lなので、東京都との差は8.98Lもある。
3位は京都府25.11L、4位は大阪府24.98L、5位は富山県24.67L。
3位以下は混戦状態である。
都市別の二人以上の世帯のビール消費量と消費額もみてみよう。
消費量、消費額ともに1位は青森市である。
2位は盛岡市、3位は新潟市でここまでは消費量と消費額の順位が一致している。
消費量4位は富山市、5位は京都市。
消費額4位は広島市、5位は富山市。
僅差ではあるが消費量と消費額の順位が一致するとは限らないことがわかる。
都道府県別と都市別のデータから、やはり順位が一致していない。
データが2つあることを知らなければ、混乱することになる。
●都道府県別、都市別 ビール消費量データ
ランキングTOP5以外も気になるだろう。
以下が各データ表とランキング順のグラフである。
都道府県 | 一人当たりの ビール消費量[L] | 順位 | 都市 | 二人以上の世帯の ビール消費量[L] | 順位 |
---|---|---|---|---|---|
全国 | 21.49 | – | 全国 | 22.84 | – |
北海道 | 26.90 | 2 | 札幌市 | 25.23 | 11 |
青森県 | 22.14 | 11 | 青森市 | 34.21 | 1 |
岩手県 | 22.08 | 12 | 盛岡市 | 33.33 | 2 |
宮城県 | 21.23 | 13 | 仙台市 | 20.13 | 29 |
秋田県 | 23.52 | 7 | 秋田市 | 26.89 | 8 |
山形県 | 21.22 | 14 | 山形市 | 24.16 | 13 |
福島県 | 20.30 | 16 | 福島市 | 24.51 | 12 |
茨城県 | 16.92 | 37 | 水戸市 | 22.31 | 20 |
栃木県 | 16.37 | 39 | 宇都宮市 | 19.68 | 32 |
群馬県 | 16.73 | 38 | 前橋市 | 14.53 | 46 |
埼玉県 | 15.26 | 45 | さいたま市 | 21.71 | 23 |
新潟県 | 22.27 | 10 | 新潟市 | 29.85 | 3 |
長野県 | 20.99 | 15 | 長野市 | 26.94 | 7 |
千葉県 | 16.23 | 41 | 千葉市 | 19.15 | 34 |
東京都 | 35.88 | 1 | 東京都区部 | 26.19 | 10 |
神奈川県 | 19.69 | 22 | 横浜市 川崎市 相模原市 | 23.35 21.05 17.11 | 19 – – |
山梨県 | 19.60 | 23 | 甲府市 | 16.73 | 41 |
富山県 | 24.67 | 5 | 富山市 | 28.25 | 4 |
石川県 | 20.26 | 17 | 金沢市 | 19.73 | 31 |
福井県 | 19.00 | 25 | 福井市 | 20.25 | 28 |
岐阜県 | 15.64 | 42 | 岐阜市 | 17.72 | 37 |
静岡県 | 17.46 | 35 | 静岡市 浜松市 | 24.09 23.55 | 15 – |
愛知県 | 18.91 | 26 | 名古屋市 | 17.43 | 39 |
三重県 | 16.28 | 40 | 津市 | 23.68 | 17 |
滋賀県 | 12.76 | 47 | 大津市 | 19.58 | 33 |
京都府 | 25.11 | 3 | 京都市 | 27.30 | 5 |
大阪府 | 24.98 | 4 | 大阪市 堺市 | 15.19 20.37 | 43 – |
兵庫県 | 19.30 | 24 | 神戸市 | 26.41 | 9 |
奈良県 | 13.81 | 46 | 奈良市 | 14.82 | 45 |
和歌山県 | 17.36 | 36 | 和歌山市 | 21.16 | 26 |
鳥取県 | 19.87 | 19 | 鳥取市 | 24.04 | 16 |
島根県 | 18.20 | 31 | 松江市 | 22.08 | 21 |
岡山県 | 15.57 | 44 | 岡山市 | 14.83 | 44 |
広島県 | 19.76 | 20 | 広島市 | 27.23 | 6 |
山口県 | 18.01 | 33 | 山口市 | 22.00 | 22 |
徳島県 | 17.60 | 34 | 徳島市 | 17.66 | 38 |
香川県 | 18.68 | 27 | 高松市 | 21.19 | 25 |
愛媛県 | 18.10 | 32 | 松山市 | 19.74 | 30 |
高知県 | 23.50 | 8 | 高知市 | 14.02 | 47 |
福岡県 | 19.99 | 18 | 福岡市 | 19.02 | 35 |
佐賀県 | 18.64 | 28 | 佐賀市 | 16.29 | 42 |
長崎県 | 18.23 | 30 | 長崎市 | 17.28 | 40 |
熊本県 | 18.36 | 29 | 熊本市 | 20.28 | 27 |
大分県 | 19.70 | 21 | 大分市 | 17.79 | 36 |
宮崎県 | 22.98 | 9 | 宮崎市 | 21.31 | 24 |
鹿児島県 | 15.64 | 43 | 鹿児島市 | 23.42 | 18 |
沖縄県 | 24.36 | 6 | 那覇市 | 24.16 | 14 |
以下がランキング順のグラフである。

●都市別 ビールの消費量と消費額(二人以上の世帯)

これは都市別のビールの消費量と消費額をグラフにしたものである。
縦軸が消費額、横軸が消費量である。
データは総務省の家計調査を利用した。
ビールの消費のデータは、総世帯や単身世帯はなく、二人以上の世帯しかない。
本来なら、総世帯でみたいのだが、ないものは仕方がない。
消費量と消費額はキレイに比例しており、相関性も強い。
青森市と盛岡市が突出しているのがよくわかる。
ビールを多く飲み、それだけ多くお金を払っている。
地域や都市規模による関係性を無さそうだ。
●都道府県別 X 都市別 ビール消費量

これは都道府県別のビール消費量と、
都市別のビール消費量をグラフにしたものである。
縦軸が都道府県別のビール消費量、横軸が都市別のビール消費量である。
データの調査方法が違うので厳密ではないが、
対象線から大きく外れているデータに注目してみよう。
都市別と都道府県別の差が大きいと読み取ることができる。
青森、岩手、滋賀は県内でも特に都市部でビールを飲む人が多いのかもしれない。
逆に東京、大阪、高知は都市部よりも他の町でビールを飲む人が多いのかもしれない。
●都市別 ビール消費量ランキング【2024】
ここまでは都道府県別のデータが2023年のものだったため、
都市別も2023年のものを使用した。
都市別のデータは2024年のものが公開されているのでランキングを記載する。
()は2023年の順位である。
順位 | 都市 | 消費量[L] |
---|---|---|
– | 全国 | 24.46 |
1 | 盛岡市(2) | 33.17 |
2 | 青森市(1) | 32.57 |
3 | 秋田市(8) | 32.28 |
4 | 新潟市(3) | 30.93 |
5 | 富山市(4) | 29.27 |
6 | 大津市(33) | 29.07 |
7 | 大阪市(43) | 28.96 |
8 | 長野市(7) | 28.50 |
9 | 熊本市(27) | 28.46 |
10 | さいたま市(23) | 28.42 |
11 | 福岡市(35) | 28.11 |
12 | 広島市(6) | 27.64 |
13 | 京都市(5) | 27.35 |
14 | 東京都区部(10) | 26.13 |
15 | 鳥取市(16) | 26.11 |
16 | 金沢市(31) | 25.66 |
17 | 前橋市(46) | 24.91 |
18 | 松江市(21) | 24.83 |
19 | 山形市(13) | 24.39 |
20 | 那覇市(14) | 24.14 |
21 | 仙台市(29) | 23.92 |
22 | 札幌市(11) | 23.90 |
23 | 神戸市(9) | 23.57 |
24 | 福島市(12) | 23.50 |
25 | 徳島市(38) | 23.28 |
26 | 千葉市(34) | 22.50 |
27 | 高松市(25) | 22.15 |
28 | 岡山市(44) | 21.91 |
29 | 水戸市(20) | 21.70 |
30 | 静岡市(15) | 21.46 |
31 | 甲府市(41) | 21.38 |
32 | 宇都宮市(32) | 20.82 |
33 | 宮崎市(24) | 20.72 |
34 | 横浜市(19) | 20.43 |
35 | 名古屋市(39) | 20.38 |
36 | 福井市(28) | 20.28 |
37 | 山口市(22) | 20.18 |
38 | 鹿児島市(18) | 19.81 |
39 | 佐賀市(42) | 19.49 |
40 | 長崎市(40) | 19.05 |
41 | 岐阜市(37) | 18.68 |
42 | 高知市(47) | 18.56 |
43 | 大分市(36) | 18.34 |
44 | 和歌山市(26) | 17.63 |
45 | 奈良市(45) | 17.27 |
46 | 松山市(30) | 16.04 |
47 | 津市(17) | 14.20 |
ビールの消費量は年によって大きく変動することがわかる。
よってランキングの入れ替わりは激しい。
結局のところ、データはあくまで参考にしかならないということである。
いつの、どのデータをみるかによって、
結果は大きく違うということを知っていることが重要である。
●あとがき
ビールの消費量は都道府県別や都市別のデータがあり、
さらに年によって変動も大きい。
お酒の席などの話しのネタとして、地域のビール消費量について話すのもよいだろう。
その時に話しが食い違っていると感じたら、それはデータの出処の違いだと説明しよう。
それでまた話しが盛り上がるかもしれない。