文字数:約4000文字
梅酒のバリエーションの増加はとどまるところを知らない。
作り手が梅酒の新たな可能性に日々挑戦し続けている。
生み出されるもののなかにはとてもユニークな梅酒もある。
気になるものがあればぜひ試してみよう。
フルーツ系、乳酸菌系、スパイス系、ハーブ系の4系統に分けて紹介する。

●フルーツ系梅酒
そもそも梅自体がフルーツなのだが、さらにフルーツを加えたものである。
定番は柑橘系やベリー系なので、それ以外を紹介する。
・完熟キウイの贅沢梅酒

- 製造元:紀州本庄うめよし/和歌山県
- ベース:ホワイトリカー
- 度数 :11%
- 原材料:梅酒(和歌山県製造)、キウイピューレ(和歌山県製造)、果糖ぶどう糖液糖
キウイを使った梅酒は珍しい。
完熟キウイをピューレにして、梅酒に加えている。
キウイは完熟したものを使用しているので、甘味が強く、酸味はまろやか。
そしてキウイの種が含まれているので、
梅酒のとろみにプチプチ食感が加わって口の中がにぎやかになる。
ロックでゆっくり飲んでも良し。
ソーダ割りですっきり爽やかに楽しんでも良い。
完熟キウイの贅沢梅酒 720ml
¥3,990 (2025/06/15 18:53時点 l KURAND調べ)
・梅仙人 門司港(もじこう)バナナ梅酒

- 製造元:小林酒造本店/福岡県
- ベース:清酒
- 度数 :9%
- 原材料:バナナ、パッションフルーツ、醸造アルコール、清酒、梅酒、糖類他
門司港(もじこう)は明治以前から九州の玄関口としてバナナが輸入されている。
福岡の老舗酒蔵 小林酒造本店が清酒ベースの梅酒にバナナを合わせた。
開封した瞬間にバナナの甘く爽やかな香りが漂う。
果肉が沈殿しているので、よく振ってから注ごう。
とろみがあり濃厚そうだが、意外とスッキリしている。
清酒ベースの梅酒が軽やかにしてくれている。
梅とバナナの組み合わせをぜひ試してみよう。
●スパイス系梅酒
スパイス系は独特の刺激があり、好みが分かれやすい。
好みに合うものが見つかれば、どっぷりハマってしまう。
・シナモン梅酒 CINNAMONUME

- 製造元:豊永酒造/熊本県
- ベース:米焼酎
- 度数 :12%
- 原材料:米焼酎(国内製造)、梅、シナモン、氷砂糖
熊本の老舗酒蔵 豊永酒造が手掛ける商品。
自社製造の米焼酎をベースにして、梅とシナモンを融合させた。
シナモン独特の香りがほどよく漂い、味わいには梅の風味があらわれる。
飲んでから少し経つとカラダが温かくなるのはシナモンの効果だろう。
ストレートやロックで飲んでも美味しい。
ソーダ割にするとシナモンの香りがさらに広がる。
寒い日はお湯割りにするとカラダがよく温まる。
・8th Ocean(エイスオーシャン) クミン梅酒

- 製造元:深川リキュルラボ/東京都
- ベース:ウォッカ
- 度数 :14%
- 原材料:スピリッツ(国内製造)、梅、黒糖、クミン
東京の下町に誕生してまだ間もない深川リキュルラボが作る商品。
ウォッカベースの黒糖梅酒を作り、そこへクミンを加える。
クミンはすり潰さず、ホール(クミンシード)のまま漬け込むことで苦味を抑える。
クミンはカレーの香りのベースとなるスパイス。
この梅酒もまずカレーのような香りがする。
次第にクミンの香りに隠れた黒糖と梅の香りが見つかる。
味わいは黒糖の持つまろやかなコクと甘さ、梅の酸味、
クミンのスパイシーさが混じり合って、新感覚を楽しめる。
試してみる価値はある。

・姫とうがらしと青梅で、ピリリと辛い梅酒できちゃいました。

- 製造元:室町酒造/岡山県
- ベース:日本酒
- 度数 :8%
- 原材料:清酒、青梅、氷砂糖、唐辛子(姫とうがらし)
岡山の酒蔵が地元古来からの固有とうがらしを使って作る梅酒。
梅品種は「青いダイヤモンド」と呼ばれる地元産の『古城(ごじろ)』を使用。
とうがらしも地元固有の『姫とうがらし』を使用し、
自社の日本酒で1年間漬け込む。
穏やかな梅酒の香り。
口に含むと日本酒ベースのやわらかさと、梅の甘味、酸味を感じる。
やや遅れてとうがらしのピリッとした刺激が走る。
瞬間的な辛さのアクセントはしっかりとあるが、後味はスッキリしている。
姫とうがらしと青梅で、ピリリと辛い梅酒できちゃいました。 720ml
¥2,990 (2025/06/15 18:59時点 l KURAND調べ)
●乳酸菌系梅酒
乳酸菌系梅酒が増えている印象がある。
乳酸菌飲料梅酒とヨーグルト梅酒を紹介しよう。
・白い梅酒

- 製造元:みいの寿/福岡県
- ベース:日本酒
- 度数 :8%
- 原材料:梅酒、乳酸菌飲料
大正から続く福岡の酒蔵が作る梅酒。
梅の風味と乳酸菌飲料の酸味を、
日本酒のやわらかさが全体をまとめあげてくれている。
ストレートやロックでもスッキリと飲みやすい。
ソーダで割ると清涼感が増し、さらに飲みやすくなる。
・ニューホワイト梅酒

- 製造元:寒紅梅酒造/三重県
- ベース:吟醸酒
- 度数 :8%
- 原材料:清酒(吟醸酒)、梅、乳酸菌飲料、糖類
三重県の寒紅梅酒造が作るカルピス®とのコラボ梅酒。
ラベルデザインからも味わいが想像できる。
風味はまさにカルピスだが、口に含むと梅酒の味わいが見つかる。
吟醸酒仕込みの梅酒はやさしくまろやか。
ストレートやロックで甘酸っぱさを味わっても良し。
ソーダ割りでカルピスソーダ®のようにしても良し。
・宇宙星(そらぼし)梅酒

- 製造元:研醸/福岡県
- ベース:本格焼酎
- 度数 :8%
- 原材料:梅酒(国内製造)、乳酸菌飲料
福岡県で本格焼酎を手掛ける研醸が作る梅酒。
「宇宙(そら)に煌めくどこまでも続く星々の様に輝いて欲しい」との想いから
宇宙星(そらぼし)と名付けられた。
自社製造の本格焼酎をベースにした梅酒と乳酸菌飲料とのペアリング。
とても爽やかな飲み口で、スッと飲めてしまう。
メーカーおすすめの料理は、ハンバーガー、フライドポテト、ピザ、ケバブなど。
・杉能舎(すぎのや)ヨーグルト梅酒

- 製造元:浜地酒造/福岡県
- ベース:醸造アルコール
- 度数 :8%
- 原材料:ヨーグルト(生乳、果糖ぶどう、糖液糖、オリゴ糖、乳製品)、
梅酒(梅、醸造アルコール、糖類、砂糖)
明治初期から福岡で造り酒屋を営む浜地酒造の梅酒と、
知る人ぞ知る福岡の贅沢ヨーグルト「伊都物語」がコラボ。
濃厚なヨーグルトの酸味ととろみに、梅酒の甘酸っぱさが絶妙。
瓶の下にヨーグルトが沈殿しているので、振ってから注ごう。
もし振らなかったら上澄みは梅酒感が強いのだろうか。
●ハーブ系梅酒
自宅で梅酒を作る際に、ハーブを入れてアレンジを楽しむ人が増えている。
まず市販品で風味のイメージを掴んでおけば、好みの味に近づける。
いくつかのハーブ系梅酒を紹介しよう。
・PUREM(ピュラム) UME&LEMONGRASS(レモングラス梅酒)

- 製造元:若狭三方ビバレッジ/福井県
- ベース:ウォッカ
- 度数 :8%
- 原材料:梅(福井県産)、ウォッカ(国内製造)、糖類、レモングラス
福井県の特産品種「紅映(べにさし)」を100%使用し、
レモングラスと一緒にウォッカに浸け込んだ梅酒。
レモングラスの爽やかな香りと、香り豊かな紅映の風味が漂う。
あっさり、すっきりした味わいで、よく冷やして飲みたい。
レモングラスには消化促進効果があるので、食前後酒としても適している。
purem -ピュラム- 500ml
¥2,490 (2025/06/15 19:02時点 l KURAND調べ)
・blossom(ブロッサム)さくら梅酒

- 製造元:中野BC/和歌山県
- ベース:醸造アルコール
- 度数 :10%
- 原材料:南高梅、醸造アルコール(国内製造)、
桜の花シロップ液(砂糖混合ぶどう糖果糖液糖、桜の花抽出物)、
砂糖/酸味料、香料、野菜色素、金箔
様々なお酒を造っている中野BCのさくら梅酒。
梅酒に関しても多くのバリエーションを取り扱っている。
さくら梅酒は贈答を想定して作られているが、自分や家族と飲んでも満足感がある。
多くの梅酒を手掛けている中野BCなので、その出来栄えに間違いはない。
桜の花から成分を抽出しており、ほんのりと桜の香りがする。
甘酸っぱい梅酒らしさと、淡く儚げな桜の香りがおもいを巡らせる。
金箔入りなので、お祝いのギフトとして喜ばれるだろう。
ピンク色も華やかさを演出でき、桜のイメージにぴったりである。
ソーダで割るとさらに香りが広がる。
・薔薇梅酒プレミアム YUMEHIBIKI(ゆめひびき)

- 製造元:おおやま夢工房/大分県
- ベース:醸造アルコール
- 度数 :14%
- 原材料:梅(鴬宿梅)、醸造アルコール、液糖、バラ(花ビラ)、蜂蜜、
クエン酸、ハイビスカス、野菜色素
大分の梅酒専門蔵で作られる薔薇の梅酒。
地元産の厳選された梅「鶯宿(おうしゅく)」を使用。
薔薇は地元大分で無農薬栽培されたイングリッシュローズを使用。
さらに赤とピンクの2種類の花びらからエキスを抽出。
薔薇と野菜色素の自然素材で赤みを出しているため、
5、6ヶ月で退色して、梅酒の琥珀色に戻るのがナチュラルっぽくてよい。
アルコール度数が14%と高いため、揮発によってバラの香りが一層広がる。
味わいはしっかりと丁寧に作り上げられた上品さがある。
フランス産のオシャレなボトルも贈り物として喜ばれるだろう。
・國盛(くにざかり) ラベンダー梅酒

- 製造元:中埜(なかの)酒造/愛知県
- ベース:醸造アルコール
- 度数 :9%
- 原材料:梅、醸造アルコール、ラベンダー、糖類(国内製造)/酸味料、
香辛料抽出物、クチナシ色素、野菜色素
長年愛知でお酒造りを生業とする中埜酒造が作る梅酒。
ラベンダーの花をアルコールに浸け込みエキスを抽出。
できあがった原酒を自社の梅酒とブレンドして仕上げる。
ふわっとラベンダーが香り、気持ちがリラックスする。
見た目もラベンダーをイメージした紫色が目を癒す。
口の中でもラベンダーの香りは健在だが、味わいはおいしい梅酒。
食後に一杯飲むと、ラベンダー効果で心が落ち着き、安眠できそう。
中埜酒造ではフローラル梅酒として、ラベンダー以外にも
ローズ梅酒、ジャスミン梅酒も販売している。
関連記事 ↓

●あとがき
変わり種の梅酒は探せばまだまだある。
リキュールではなく、なぜわざわざ梅酒にするのかと思う人もいるだろう。
理由は梅酒にすると気軽に飲んでみたくなるのである。
リキュールにするとややハードルが上がる。
変わり種リキュールだと尚更である。
国民的果実酒である梅酒の寛容さ、包容力は偉大である。