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トムを筆頭に、ジョン、ピエール、ペドロなどのファミリーが存在する。
これらはベース・スピリッツを替えることで、呼び名が変わる。
カクテルの分類に【コリンズ類】があるくらい、ポピュラーなスタイルである。
さらに、グラスでも『コリンズ・グラス』という呼び名が定着している。
定番のトム・コリンズの誕生背景やレシピ、豊富なバリエーション・カクテルを紹介しよう。

●トム・コリンズのレシピ
材料/レシピ
- オールド・トム・ジン(またはドライ・ジン)・・・50ml
- レモンジュース・・・・・・・・・・・・・・・・・25ml
- シュガーシロップ・・・・・・・・・・・・・・・・25ml
- ソーダ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・適量
- 氷を入れたコリンズ・グラスに材料を注ぎ、ステアする
- 冷やしたソーダで満たし、軽くステアする
- お好みでマラスキーノチェリーやカットレモンを飾ってもよい
やや甘口の飲みやすいカクテル。
オールド・トム・ジン自体に砂糖が含まれており、さらにシュガーシロップ25mlを混ぜる。
ジンのボタニカルの香りと、レモンの柑橘系の香りがソーダによって広がる。
●トム・コリンズの誕生背景
トム・コリンズは当初ジョン・コリンズと呼ばれていた。
創作したのはイギリスのロンドンにあるリマーズという酒場のバーテンダー、
ジョン・コリンズである。
1876年に出版されたジェリー・トーマスの「バーテンダーズ・ガイド」に
トム・コリンズのレシピが掲載されているので、創作はそれ以前と考えられる。

当初はオランダ・ジンを使っていたが、
人気が出てきたオールド・トム・ジンに変更したことにより、
カクテル名もトム・コリンズに変更した。
オールド・トム・ジンとは甘味料を加えた、甘めのジンである。
現在、ジョン・コリンズのカクテル名はウイスキーベースのコリンズに使われている。
元々はシェークで作られていたが、いつの間にかビルドで作られるようになった。
シェークの流れを受け継いでいるのが【フィズ類】である。
【コリンズ類】にはトール・グラスが使われるが、別名コリンズ・グラスの名が定着しつつある。
トール・グラスは細長いグラスで、口径が小さいため、炭酸が抜けにくいのが特徴。
300~360mlの容量がある。
【コリンズ類】や【フィズ類】などの詳しい説明はコチラ↓

●バリエーション

ベース・スピリッツを替えることで、カクテル名の『トム』の部分が変わる。
- オールド・トム:ジン・・・・・トム・コリンズ
- ウイスキー・・・・・・・・ジョン・コリンズ
- アイリッシュ・・・・・・・マイク・コリンズ
- スコッチ・・・・・・・・サンディ・コリンズ
- バーボン・・・・・・・・カーネル・コリンズ
- カナディアン・・・・・キャプテン・コリンズ
- ブランデー・・・・・・・ピエール・コリンズ
- アップルジャック・・・・ジャック・コリンズ
- ラム・・・・・・・・・・・ペドロ・コリンズ
- ウォッカ・・・・・・・・・ジョー・コリンズ
アップルジャックとは、アメリカで造られるアップル・ブランデーこと。
他にもいろいろあるので、調べてみるのも楽しいだろう。
●あとがき
創作者のジョン・コリンズもここまでバリエーションが増えるとは考えなかっただろう。
さらに自身の名であるコリンズが後世のカクテルに受け継がれていくとは想像もしなかっただろう。
カクテルは黄金比となるレシピを見つけると、バリエーションが自然に増える。
ベースを替えても成り立つことが黄金比の所以である。