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テキーラのアルコール度数は、
一般的に38〜40%前後(法的には35〜55%)である。
この度数や原料・産地は、メキシコ政府の規定によって
厳格に定義されている。
テキーラとは、メキシコ原産の蒸留酒で、
ブルーアガベ(リュウゼツラン)を原料として造られる。
メキシコ政府が定める原産地呼称(DO)により、
生産地域・原料・製法が厳格に規定されている。
世界的にはショットのお酒として知られているが、
近年はプレミアムテキーラの評価が高まっている。
テキーラは、メキシコの強いお酒というイメージだけで、
原料を知らない人も多い。
定義を知れば、ぼんやりとしたイメージを払拭でき、
興味が深まるだろう。

●テキーラの定義
テキーラの定義として、以下7つの条件を満たさなければならない。
それぞれ説明しよう。
- 原料は竜舌蘭(リュウゼツラン)の一種、「アガベ・アスル」のみを使用
- メキシコの指定産地5州の「アガベ・アスル」を使い、製造する
- アルコール度数は35~55%
- メタノール含有量3mg/ml以下
- ラベルにNOM番号を記載
- 添加物は1%以下
- 「100%アガベ・テキーラ」は原産地で瓶詰め、
「テキーラ」は国内外の認定業者で瓶詰め可
①原料は「アガベ・アスル」のみ

200種類以上あるといわれる竜舌蘭という植物の一種、「アガベ・アスル」のみ使う。
「アガベ・アスル」の学名は、「アガベ・テキラーナ・ウェベル・バリエダ・アスル」である。
通称「ブルーアガベ」と呼ばれる。
他の種類の竜舌蘭を使ったものは、「テキーラ」と名乗れない。
テキーラは、「アガベ・アスル」の使用量で二つに分けられる。
「アガベ・アスル」を100%使用したものを「100%アガベ・テキーラ」、
51%以上使用したものを「テキーラ」とされる。
混ぜる原料としては、サトウキビの糖廃蜜やトウモロコシなどの糖分がある。
アガベ以外を混ぜることから、「ミクスト・テキーラ」と呼ばれることもある。
- 100%アガベ・テキーラ:「アガベ・アスル」を100%使用
- (ミクスト・)テキーラ:「アガベ・アスル」を51%以上使用
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②メキシコの指定産地5州の「アガベ・アスル」を使い、製造する
メキシコの指定産地5州は以下である。

この5州で条件を満たして造られるもののみが「テキーラ」と名乗ることができる。
これはシャンパンやコニャックなどと同様の原産地呼称である。
5州での「アガベ・アスル」の栽培・育成から発酵・蒸留までは厳しく管理されている。
「アガベ・アスル」の生産の9割がハリスコ州である。
③アルコール度数は35~55%
出荷時の最終的なアルコール度数は35~55%でなければならいない。
この度数を得るためには、単式蒸留器では2回以上、
連続式蒸留機では1回以上の蒸留が必要。
クリアな味を求めて、単式蒸留を3回、4回行う製品もある。
蒸留後の度数が高くなっても、加水して最終的に範囲内に収まればよい。

④メタノール含有量3mg/ml以下
メタノール(メチルアルコール)は人体に有害で、悪酔いの原因にもなる。
国や地域によって許容量が違い、日本を含むアジアでは比較的厳しい(1mg/ml)。
「100%アガベ・テキーラ」では、アジアの1mg/mlの規格を外れるものが多い。
各国の規格を外れると当然輸出することはできない。
伝統製法を変えて対策するよりも、混ぜものをして「テキーラ」として
規格をクリアする手段をとる場合もある。
⑤ラベルにNOM番号を記載する
NOMとは、メキシコ公式規格(Norma Oficial Mexicana)のことで、
テキーラに限らず、法的規制をクリアした生産者にメキシコ政府から
認定の生産者番号が与えられる。
テキーラのラベルには4桁のNOM番号が記載されている。
複数ブランドを展開していても、メーカーは同じなので、
番号を見ればどのメーカーのものがわかる。
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⑥添加物は1%以下

水以外の添加物は1%以下でなければならいない。
添加物は味や香り、風味、色などを調整するためのものである。
⑦「100%アガベ・テキーラ」は原産地で瓶詰め、「テキーラ」は国内外の認定業者で瓶詰め可
「100%アガベ・テキーラ」は、メキシコでしか瓶詰めできない。
「テキーラ」は、当然原産地で瓶詰めすることもできるが、
大半が樽に詰められた状態で他地域、他国に移動され、
正式な認定を受けた瓶詰め業者で瓶詰めされる。
原産地で瓶詰めするよりも、販売先や移動しやすい場所で瓶詰めしたほうが
移動コストを考えると効率的なのである。
●テキーラのアルコール度数は何度?

一般的なテキーラのアルコール度数は35~40%である。
ウイスキーやウォッカなどの他の蒸留酒と同じである。
むしろ35%だと低いくらいである。
上記した通り、法律上は35~55%であるが、
55%のものはほとんど見かけない。
「強いお酒」というのは酔いつぶれているイメージによるものだろう。
酔いつぶれるのは一気飲みするからである。
普通に飲めばそんなことにはならない。
●テキーラはどこの国のお酒?産地は?

テキーラはメキシコのお酒である。
主にハリスコ州産が中心で、原産地呼称で定められた5州で造られている。
たとえ原料や製法が同じでもこの5州以外で造ったものは、
「テキーラ」と名乗ることができない。
●テキーラの原料は何?トウモロコシではない!!

テキーラの原料はアガベと呼ばれる竜舌蘭である。
トウモロコシやサボテンが原料だと誤解している人もいるが、
全くの別物である。
ちなみにアガベにも種類があり、
上記した通称「ブルーアガベ」のみが認められており、
他のアガベを使った蒸留酒はメスカルに分類される。
●テキーラ規制委員会(CRT)

テキーラの定義を策定し、厳正な管理、保証を行っているのが、
テキーラ規制委員会(CRT:Consejo Regulador del Tequila)である。
「全国テキーラ産業会議所」が、1994年にCRTを設立した。
CRTは、非営利団体(NPO)として、テキーラの普及に務めている。
アガベの栽培から、テキーラ製造の各工程をチェックし、
規制を管理している。
国外にも拠点を置き、異物混入や偽造防止を行うことで、品質を保証している。
●あわせて読みたい|蒸留酒(スピリッツ)の定義シリーズ
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・ウイスキーの定義
・ジンの定義とは?法律上の定義と分類・種類をわかりやすく解説
・テキーラの定義とは?アルコール度数(何度?)・原料・産地を解説
・ラムの定義
・焼酎の定義と分類『正式には甲類、乙類という呼称はもう古い?!』
●テキーラのまとめ
簡単にまとめると以下のようになる。
あまり難しく考えずに、気楽にこのくらいを知っていればよいだろう。
楽しく飲むのが一番である。
テキーラの基礎知識 ↓


●あとがき
お酒の原料の栽培・育成から管理しているのは、テキーラとワインくらいだろうか。
日本酒の場合は、米は米で管理基準があるだけで、日本酒の原料としてのものではない。
ビールやウイスキーでも、麦とお酒の管理は別々である。
メキシコが国をあげてテキーラの普及を進める本気度がうかがえる。


