図解■ ポートワインの種類別販売量

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文字数:約2200文字

 ポートワインには多くの種類がある。
種類別の販売量を知ることで、各種のメジャー度や希少性を把握できる。

 ポートワインの生産国であるポルトガルの公的機関ドウロ・ポートワイン協会
(IVDP:Instituto dos Vinhos do Douro e do Porto)が公開しているデータをもとに、
種類別の販売量をまとめた。

ポートワインの種類割合2021年
まとめ
グラフ

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ポートワインの種類割合

 ここでの種類を簡単に説明する。

  • ルビー:複数収穫年の黒ブドウを使い、樽熟成が3年程度のもの。
  • クラステッド:複数収穫年の黒ブドウを使い、澱引きなしで瓶熟成が3年以上のもの。
  • レゼルヴァ:複数収穫年の白ブドウを使い、熟成が10年未満のもの。
  • LBV:単一収穫年の黒ブドウを使い、熟成が4~6年のもの。
  • ヴィンテージ:単一収穫年の黒ブドウを使い、2~3年樽熟成後、瓶熟成が10年以上のもの。
  • ロゼ:マセラシオンを軽めにしたルビー。
  • トウニー:複数収穫年の黒ブドウを使い 、樽熟成で3年程度酸化させたもの。
  • トウニー・レゼルヴァ:複数収穫年の黒ブドウを使ったトウニーの、熟成が7年未満のもの。
  • 熟成年数付き:複数収穫年の黒ブドウを使ったトウニーの、熟成が10年以上のもの。
  • コリェイタ:単一収穫年の黒ブドウを使ったトウニーの、熟成が7年以上のもの。
  • ホワイト:原料が白ブドウ。

・全体

ポートワインの種類推移
全体
グラフ

 推移を見ると、ホワイトの販売量は安定している。
トウニーとルビーは少しずつではあるが、確実に減少している。

 LBV、レゼルヴァ、熟成年数付きのポートワインは、
あまり変わっていないように見えるが、わずかに増加してきている。
メインはやはり通常品であるホワイト、トウニー、ルビーである。

ポートワインの種類割合2021年
全体
グラフ

 2021年の割合を見ると、トウニーが37%を占めている。
次いで、ルビー24%、ホワイトが13%で、この3種で3/4を占めている。

 ほとんど販売されていないはクラステッドやコリェイタである。
これらを見かけてたらぜひ味わっていただきたいものだ。

・フランス

ポートワインの種類推移
フランス
グラフ

 ポートワインの最大の輸出先であるフランス
推移を見ると、トウニーが年々減少してきている。
ルビーも減少傾向、ホワイトは横ばいである。

ポートワインの種類割合2021年
フランス
グラフ

 2021年の割合では、トウニーだけで62%を占める。
次いで、ホワイト17%、ルビー9%で、この3種で85%を超える。

・ポルトガル

ポートワインの種類推移
ポルトガル
グラフ

 ポートワイン第二の市場はポルトガルの国内消費である。
推移を見ると、各種の増減の方向性はわかりづらい。
ルビーは増加傾向にあるように見える。

ポートワインの種類割合2021年
ポルトガル
グラフ

 2021年の割合では、トウニーが48%を占め、ホワイト19%、ルビー15%で、
この3種で8割以上を占める。
生産国であるポルトガルでもクラステッドはほとんど消費されていない。

・イギリス

ポートワインの種類推移
イギリス
グラフ

 オランダ、ベルギーと僅差で第三位を争うイギリス
推移を見ると、ルビーは減少傾向だが、レゼルヴァは横ばいを保っている。
昔からホワイトやトウニーをほとんど消費しておらず、
ルビー、レゼルヴァ、LBVの3本柱である。

ポートワインの種類割合2021年
イギリス
グラフ

 2021年の割合でも、レゼルヴァ43%、ルビー23%、LBV17%で8割以上を占める。
イギリスは熟成が進んだものを好む傾向があるようだ。

・オランダ

ポートワインの種類推移
オランダ
グラフ

 かつてはポートワインの輸出先第二位だったオランダだが、減少が続いている。
推移を見ると、主力のルビーの減少が目立つ。
レゼルヴァが減った分、熟成年数付きのものが増えている印象がある。

ポートワインの種類割合2021年
オランダ
グラフ

 2021年の割合を見ると、ルビー50%、トウニー23%、ホワイト16%で、
合わせると9割近くを占める。
以前はルビーの割合がもっと多かったが、現在は半分以下になっている。

・ベルギー

ポートワインの種類推移
ベルギー
グラフ

 ここ数年は緩やかながら増加傾向の見られるベルギー
推移では、ホワイトとルビーの減少が、際立つ。
しかしルビーはやや持ち直しの兆しが出ているのかもしれない。

ポートワインの種類割合2021年
ベルギー
グラフ

 2021年の割合を見ると、ルビー45%、トウニー26%、ホワイト19%で、
この3種で9割を占めている。
それ以外の種類はほとんど消費されていない。

・アメリカ

ポートワインの種類推移
アメリカ
グラフ

 ヨーロッパ地域以外での最大の輸出先であるアメリカ
推移では、停滞後、増加に転じているように見える。
レゼルヴァや熟成年数付きのポートワインが増加傾向にある。

ポートワインの種類割合2021年
アメリカ
グラフ

 2021年の割合を見ると、他国よりもバランスが良いように思える。
熟成年数付き25%、レゼルヴァ23%、トウニー20%、ルビー20%で、
この4種で4分割している。
熟成されたものを好む傾向が出ている。

・ドイツ

ポートワインの種類推移
ドイツ
グラフ

 2007から2009年までの3年間で急激に輸入量を増やしたが、
その後、急減少して横ばいが続いている。
単一の種類ではなく、全体が連動して増減しているように見える。

ポートワインの種類割合2021年
ドイツ
グラフ

 2021年の割合では、トウニー65%、ルビー12%、ホワイト10%で、
この3種で85%以上を占めている。
フランスに近い割合比率になっている。

・日本

ポートワインの種類推移
日本
グラフ

 日本は輸入量が少ないので、どの種類も安定していない。

ポートワインの種類割合2021年
日本
グラフ

 2021年の割合では、ルビー76%、ホワイト14%で、
この2種で9割を占めている。
ルビーの割合がここまで多い国は珍しい。
日本ではポートワイン=赤(ルビー)というイメージが強いのだどうか。
赤玉ポート』の影響なのか、、、

あとがき

 長期熟成されたポートワインには、50年や100年というものもある。
全体で見ると熟成されたものの割合が少しずつ増加している。
熟成品の味を知ってしまうと、ポートワインの虜になるということだろう。

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