• お酒全般の情報ブログ

     更新日:2022年10月2日

    文字数:約1300文字

     スコットランドの蒸留地域は、大きく6つに分けられる。
    アイラ、アイランズ、キャンベルタウン、ローランド、ハイランド、スペイサイドである。
    地域の環境や歴史から特徴が見えてくる。

    ●オーヘントッシャン

    ・基礎データ、場所

    ローランド地図
オーヘントッシャン蒸留所場所

     スコットランドのローランド地域西部、グラスゴーの北西に16キロにある蒸溜所。
    商工業で発展してきた都市グラスゴーの街はずれにある、都会の蒸留所
    ローランド地域の伝統的な製法を、かたくなに続けている。

    オーヘントッシャン蒸留所
    http://casktodrams.com/2018/09/distillery-tour-auchentoshan/

    ・特徴

    ・味わい

     ライトドライオイリー、ローランドの伝統的な味わい。
    3回蒸留することで、クリアで繊細に仕上げている。
    クセがなく、飲みやすいため、スコッチ入門酒として人気がある。

    ・3回蒸留

    3つの蒸留器
    http://casktodrams.com/2018/09/distillery-tour-auchentoshan/

     オーヘントッシャンでは、3つの蒸留器を使って3回蒸留を行っている。
    初留釜のウォッシュスチル中留釜のインターミディエイトスチル再留釜のスピリッツスチル
    まず初留釜で18度ほどに蒸留され、中留釜で54度に濃縮され、再留釜で81度まで高められる
    他の蒸留所の通常商品は2回蒸留で70度前後、
    スプリングバンク蒸留所の3回蒸留品ヘーゼルバーンでは74度程度である。
    オーヘントッシャンは極端に度数を高めていることがわかる。

    ・経緯

     職を求める移民は都市部に集まる。
    スコットランドの主要都市であるエジンバラもグラスゴーも、ローランドにある。

     アイルランドからの移民により建てられてた蒸留所の多くは、
    アイリッシュウイスキーに倣って、3回蒸留を基本としたウイスキー造りを行った。

     大都市のあるイングランドでは、クセの強いアイラモルトなどは敬遠され、
    3回蒸留のローランドモルトの飲みやすさが受け入れられた。

     しかし、連続式蒸留機の発明により、安価でクリアなグレーンウイスキーが現れる。
    さらにほど良い飲み口のブレンデッドウイスキーが誕生する。

     ローランドモルトは、飲みやすさ、価格、個性のすべての面で、中途半端な存在となってしまう。
    蒸留回数を2回にして個性を出したり、グレーンウイスキーに切り替えたり、
    ジン用のスピリッツを造ったりして、延命を試みるが多くの蒸留所は閉鎖に追い込まれた。

    オーヘントッシャン
    http://casktodrams.com/2018/09/distillery-tour-auchentoshan/

     ローランドの蒸留所が手本としたアイリッシュウイスキーも同様に、
    グレーンやブレンデッドの誕生により優位性を失ったことと、
    販売戦略を誤ったことで失墜することになる。

     ちなみに同じ3回蒸留であるローランドとアイリッシュの違いは、
    アイリッシュは麦芽以外に穀物(未発芽の大麦、小麦、ライ麦など)を混ぜていることである。

     スコッチの基本は大麦麦芽(モルト)のみを使用することにある。
    ただし、現在ではアイリッシュも大麦麦芽のみの製品があるので、本質的な違いはなくなっている。

    ●あとがき

     オーヘントッシャンは、伝統を守り続けることが個性になるという良い例だと思う。
    周りの多くの蒸留所が閉鎖する中で、その環境に耐え続けるだけの力があったからこそである。
    伝統を守り続けると書いたが実は逆で、続けたことが伝統になったのではないだろうか。

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