甲類焼酎について

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文字数:約1600文字

 あまり注目されることのない甲類焼酎。
実は幅広く使われていることや、甲類焼酎の味について記載する。

●甲類焼酎とは

 まず一般的な甲類焼酎のイメージは、無味無臭、アルコール、割り材などである。
この認識で問題ない。

・定義

 定義では「アルコール含有物を連続蒸留機で蒸留したものでアルコール分が36度未満のもの」となる。
連続式蒸留機で蒸留することにより、効率良く高いアルコール度数が得られる。
大量に高効率で生産できるため、安価である。

連続式蒸留機
MariakrayによるPixabayからの画像

・つくり方

 アルコール以外の成分はほとんど除去されることで、無味無臭となる。
出来上がったアルコールに水を混ぜて、36度未満に調整する。
他のお酒のブレンド用やリキュールの原料用に36度以上のものも造られている。

・原料

 原料は、なんでもよいのだが糖類を含んだものが使われることが多い。
含糖類はデンプンを糖に分解する糖化工程が不要のためである。
どの原料を使っても、連続蒸留によって原料由来の味、香りはなくなってしまう。

・味

 しかし無味無臭といわれる甲類焼酎でも、実は味に違いがある。
単品では難しいが、飲み比べるとほのかに甘さや苦味などの違いがわかる。
これは無味無臭の高アルコールを薄めるために使われる水の違いです。
甲類焼酎の構成比6割以上は水であるため、その味が反映される。
メーカーは水にこだわって甲類焼酎を造っている。

 この水の違いによって、割り材としての相性が変わってくる。
たとえば、レモン酎ハイで同じレモンでも甲類焼酎によって出来上がりが違う。
酎ハイにこだわりを持っている居酒屋さんは、甲類焼酎をこだわって選んでいる。
このような店は水もこだわっているので料理もうまい。

●甲類焼酎の需要

 上述したとおり、甲類焼酎は割り材としての需要がかなりある。
第3のビールだったり、缶チューハイの売り上げは伸びている。
他にも梅酒や果実酒作りにもホワイトリカーとして使われている。

・混和焼酎

ブレンド
Engin AkyurtによるPixabayからの画像

 甲類焼酎と乙類焼酎を混ぜた混和焼酎というものがある。
これは甲類と乙類を混ぜ合わせることで、乙類の個性の強さを緩和して、
飲みやすくしている。

 また、甲類を混ぜることで単価を下げることもできる。
混和比率によって、甲類が多ければ甲乙混和、乙類が多ければ乙甲混和とされる。
パック焼酎などのラベルを見ると混和と書かれていることがある。
モルトウイスキーとグレーンウイスキーを混ぜる、ブレンデッドウイスキーのようなものである。

●白色革命

 1980年代に酎ハイやカクテルのブームがあった。
酎ハイには甲類焼酎が使われるため、出荷量の増加した。
このブームの背景にはアメリカで起きた「白色革命」といわれる出来事が関係している。

カクテル
bridgeswardによるPixabayからの画像

 アメリカではバーボンが多く飲まれていたが、70年代に入り、ウォッカの消費量が増大した。
ウォッカは大量に生産でき、熟成期間も必要ないため、安価に出回った。
そして無味無臭のため、自分好みにカクテルをつくれることが若者に受けた。
ウォッカ以外でもホワイトラム、熟成無しのテキーラなど、無色透明の蒸留酒が
大量に消費されたことで「白色革命」と呼ばれた。
1960年代にイランで起きた「白色革命」と無関係のようだ。

 日本もアメリカの流行を受けて、自分好みの味が楽しめる酎ハイがブームとなった。
そして無色透明の甲類焼酎の需要も高まることとなった。
当時は今よりもアメリカへのあこがれが強かった時代なので、
ミーハー的な部分があったのだろう。

 ちなみに、甲類焼酎とウォッカの違いは白樺の炭をろ過に使うかどうかである。
ウォッカは白樺の活性炭を使ってろ過されるため、焼酎では白樺の炭の使用が禁止されている。
ウォッカは酒税法上スピリッツ類に分類されるため焼酎よりも税率が高くなる。

●あとがき

 家飲みをする際に、甲類焼酎があるとホントに助かる。
炭酸やジュースを割って飲むときの必需品である。
本格焼酎も良いのだが、たまには自分好みの飲料を割ってお酒にするのもありだろう。
低価格で気軽に楽しめるのが素晴らしい。

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