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シャンパンを使ったカクテルの中でも、
ひときわシャープで印象的な一杯が「フレンチ75」。
優雅なフルートグラスに立ちのぼる繊細な泡。
しかし口に含めば、レモンの酸味とジンの骨格がくっきりと現れ、
想像以上に力強い。
名前の由来は第一次世界大戦の75mm野砲(カノン砲)。
華やかさと鋭さをあわせ持つこのカクテルは、
祝いの席にも、静かなバーの一角にもよく似合う存在である。

●フレンチ75のレシピ
材料/レシピ
- ジン・・・・・・・・・30ml
- レモンジュース・・・・15ml
- シュガーシロップ・・・15ml
- シャンパン・・・・・・適量
- シャンパン以外の材料をシェークし、グラスに注ぐ
※グラスはフルート型を使うことが多い - 冷えたシャンパンでグラスを満たす
ジュニパー由来のジンの香りと、シャンパンのフルーティーな香りが、
気泡が弾けることで爽やかに広がる。
とても軽快で飲みやすく、絶妙な味わい。
●フレンチ75の誕生背景

フレンチ75は第一次世界大戦で活躍した大砲の75mm口径に由来する。
大砲の衝撃の強さをカクテルで表したという。
しかしフレンチ75はそれほど強いカクテルではない。
じつは誕生当初はまったく違ったレシピだったのである。
当初のレシピはジン、カルバドス、アブサン、グレナデンシロップである。
確かにこのレシピならかなり強いので、大砲の衝撃を表しても不思議ではない。
パリでバーを営むハリー・マッケルホーンが考案したとされている。
1922年刊の『Harry’s ABC of Mixing Cocktails』で「75」として記されている。
ではなぜレシピが全く違うものになってしまったのだろうか。
1927年にジャッジJr.著『Here’s How』に「フレンチ75」の名で、
現在のレシピが掲載されたのである。
このレシピが有名な『The Savoy Cocktail Book』(1930年)に、
「フレンチ75」の名で掲載されたことで広く知れ渡ることとなる。
つまり現在のフレンチ75は原型をとどめないレシピになっている。
なぜこのような変化が起きたのかは不明である。
わからないことも楽しみの一つと考えよう。
●バリエーション

フレンチ75にはいくつかのバリエーションがある。
- ジン → ウォッカ :フレンチ76
- ジン → バーボン :フレンチ95
- ジン → ブランデー :フレンチ125
- シャンパン → ソーダ :ジン・フィズ
数字は大砲の口径なのだが、カクテルの強さを表しているわけではない。
安心して注文しよう。
●あとがき
当初のレシピはお酒として相当強い。
ジン、カルバドス、アブサン、グレナデンシロップ。
近いカクテルとして、ジン、ウイスキー、アブサンの
「アースクエイク」がある(別名「アブジンスキー」)。
どちらも大砲の衝撃や、地震の強さをよく表している。
やはりネーミングは大切である。

