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ビール・発泡酒・第3のビールの違いとは?なぜ今「ビール化」が進んでいるのか

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文字数:約3800文字

 最近、「ビールが安くなる」「3のビールがビールになる
といったニュースを目にした人も多いのではないだろうか。
しかし、そもそもビール・発泡酒・第3のビールは何が違うのか、
よくわからないという人も少なくない。

 実はこれらの違いは、原料や味だけでなく酒税とも深く関係している。
そして2026年の酒税改正によって、その関係が大きく変わろうとしている。

 ここではビール・発泡酒・第3のビールの違いを
わかりやすく比較しながら、なぜ今「ビール化」が進んでいるのかを解説する。

ビール・発泡酒・第3のビール
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●ビール・発泡酒・第3のビールの違い【比較表】

 ビール・発泡酒・第3のビールは見た目こそ似ているものの、
原料や酒税上の分類が異なる。
まずは3種類の違いを比較表で見てみよう。

ビール発泡酒第3のビール
主な原料麦芽(50%以上)・
ホップ
麦芽(50%未満)・
ホップなど
麦芽以外の原料、
または発泡酒+
スピリッツ
酒税上の分類ビール発泡酒発泡酒・
リキュール
(発泡性)など
価格の傾向高め中間安め
味の傾向コクや香りが豊か商品によって幅広い軽快で飲みやすい

 それぞれの特徴を簡単にまとめると次のとおり。

  • ビール:麦芽を多く使用し、コクや香りを重視したスタンダードなビール
  • 発泡酒:麦芽比率や原料の自由度が高く、多様な商品が存在する
  • 3のビール:酒税を抑えるために開発されたビールテイスト飲料

 第3のビールは「新ジャンル」と呼ばれることもある。
厳密には法的な分類名ではなく、メーカーやメディアが用いる通称である。

 なお、近年は酒税改正の影響により、
第3のビールからビールへの移行が進んでいる。
詳しくは後半で解説する。

●主要銘柄を分類するとこうなる

 ビール・発泡酒・第3のビールの違いは、
実際の商品を見るとさらにわかりやすい。
普段スーパーやコンビニで見かける代表的な銘柄を分類すると、
次のようになる。

アサヒキリンサッポロサントリー
ビール スーパードライ
マルエフ
ゴールド
一番搾り
晴れ風
グッドエール
黒ラベル
ヱビス
ザ・プレミアム・モルツ
サントリー生ビール
発泡酒スタイルフリー淡麗グリーンラベル極ZERO
3のビール
(
新ジャンル)
クリアアサヒ
ザ・リッチ
本麒麟
のどごし生
麦とホップ
 GOLD STAR 
金麦

※商品の分類は執筆時点のもの

 「金麦」や「本麒麟」はビールだと思われることも多いが、
実際には第3のビール(新ジャンル)に分類される。
一方で「淡麗グリーンラベル」は発泡酒、
「スーパードライ」や「一番搾り」はビールである。

●なぜビール・発泡酒・第3のビールに分かれているのか

tax
Peggy und Marco Lachmann-AnkeによるPixabayからの画像

 ビール・発泡酒・第3のビールは、見た目や飲み方に大きな違いはない
では、なぜ3種類に分かれているのだろうか。
その理由は酒税にある。

・ビールは酒税が高かった

 日本では長年、ビールに高い酒税が課されてきた。
そのためメーカー各社は、ビールらしい味わいを維持しながらも、
税負担を抑えた商品の開発を進めることになる。

・発泡酒が誕生した

大麦
Steve BuissinneによるPixabayからの画像

 そこで生まれたのが発泡酒である。
発泡酒は麦芽の使用量を抑えたり、
ビールとは異なる原料を使用したりすることで、
ビールよりも低い税率を実現した。

 価格を抑えられることから人気を集め、多くの商品が発売された。

・第3のビールが誕生した

 しかし、その後は発泡酒の税率も引き上げられていった
そこで各メーカーはさらに新しいビールテイスト飲料を開発する。
これが「第3のビール(新ジャンル)」である。

 麦芽以外の原料を使用したり、発泡酒にスピリッツを加えたりすることで、
当時の税制においてさらに安価な価格を実現した。

 こうして日本のビール市場には、
ビール・発泡酒・第3のビールという3つのカテゴリーが
並ぶようになったのである。

●なぜ今「ビール化」が進んでいるのか

ビール化

 ビール・発泡酒・第3のビールが話題になっている理由は、
2026年10月の酒税改正にある。

 これまでビールは税率が高く、第3のビールは税率が低かった。
そのためメーカー各社は、税負担を抑えた第3のビールの開発に力を入れてきた。
しかし2026年10月には、
ビール・発泡酒・第3のビールの酒税が統一される

 つまり、第3のビールであることによる税制上のメリットがなくなる

・第3のビールを作る意味が小さくなる

 第3のビールは、酒税を抑えるために生まれたカテゴリーである。
そのため酒税の差がなくなれば、
メーカー側にとって第3のビールを維持する理由も小さくなる。

 そこで各社は、長年培った醸造技術を活かしながら、
より品質や味わいを重視したビールへの移行を進めている。

・人気ブランドの「ビール化」も進んでいる

 近年は、第3のビールとして販売されてきた人気ブランドが見直されている。
かつては「安く飲めること」が大きな魅力だったが、酒税の差が縮まることで、
今後は価格よりも味や品質で選ばれる時代になっていく可能性がある。

 第3のビールがビール化しても、
既存のビールブランドと同じ商品になるわけではない。
今後は価格帯や味わい、ブランドイメージによる差別化が進むと考えられる。

●これからビール・発泡酒・第3のビールはどうなる?

3種のライン

 2026年10月の酒税統一によって、
ビール・発泡酒・第3のビールを取り巻く環境は大きく変わろうとしている。

・第3のビールは減少する可能性がある

 第3のビールは、もともと酒税を抑えるために開発されたカテゴリーである。
しかし酒税が統一されれば、そのメリットはなくなる。
だが製造コストやブランド力といった強みは残る
そのため、全ての商品がビールへ移行するとは限らない

 よって今後は、第3のビールからビールへの移行や、
商品の見直しがさらに進む可能性がある。
メーカーにとって重要なのは利益率なのである。

・発泡酒は独自路線で残る可能性がある

 発泡酒も酒税上のメリットはなくなるが、
糖質オフや糖質ゼロなどの機能性を持つ商品が多い

 実際に「淡麗グリーンラベル」や「スタイルフリー」などは、
価格だけでなく健康志向のニーズにも応えている。

 そのため発泡酒は、ビールとは異なる価値を持つカテゴリーとして残る可能性が高い。

・これからは価格より味や個性が重視されるかもしれない

 これまでビール類は、酒税の違いによる価格差が選ばれる理由の一つだった
しかし酒税統一後は、その差が小さくなる。

 今後は価格だけでなく、味わいや飲みやすさ、機能性など、
それぞれの個性がこれまで以上に重視されるようになるかもしれない。

 消費者から見ると、第3のビールのビール化は“昇格”のように感じられるかもしれない。
しかしメーカーにとっては、酒税の差がなくなる中で商品設計を見直す動きといえる。

●素朴な疑問

FAQ
Arek SochaによるPixabayからの画像

 素朴な疑問にいくつか答えよう。

Q.ビール化とは実際に何をする?

 第3のビールを酒税法上のビールとして販売できるよう、
原料や製法を見直す必要がある。
単なる名称変更ではなく、ビールの定義を満たすように
レシピを変更する。

 例えば、麦芽使用量を増やす原料構成を変更するなど。
だが、単純に麦芽比率だけ上げればよいわけではない。
今までの特徴を維持しつつ、ビールへ移行しなければならない。
通常の商品開発とは別の難しさがある。

Q.3のビールは完全になくなる?

 完全になくなるとは限らない
酒税統一によって第3のビールの税制メリットはなくなる。
しかし製造コストやブランド力という強みもある。

Q.発泡酒もビール化される?

 一部の商品は見直される可能性があるが、
糖質オフや糖質ゼロという独自の価値がある。
機能性という独自価値があるためビール化されずに残る可能性が高い。

Q.クラフトビールも酒税改正の影響ある?

 クラフトビールの多くは酒税法上のビールに分類されるため、
ビールの酒税引き下げの恩恵を受ける
ただし、もともとの製造コストが高いため、
価格への影響は限定的と考えられる。

Q.ノンアルコールビールも酒税改正の影響を受ける?

 ノンアルコールビールは酒税法上の酒類ではないため、
2026年の酒税改正による税率変更の対象外である。

酒税改正の詳しい内容はこちら ↓↓

●まとめ

 ビール・発泡酒・第3のビールは、見た目や飲み方こそ似ているものの、
酒税上の分類や原料に違いがある。

  • ビール:麦芽を50%以上使用したビール
  • 発泡酒:麦芽比率や原料がビールと異なる発泡性酒類
  • 3のビール(新ジャンル):酒税を抑えるために開発されたビールテイスト飲料

 これら3種類が生まれた背景には酒税の違いがあった。
しかし2026年10月の酒税改正によって税率は統一され、
第3のビールが持っていた税制上のメリットはなくなる

 そのため近年は「ビール化」が検討され、
ビール・発泡酒・第3のビールの境界も変わりつつある。

 ニュースで「ビール化」や「酒税改正」という言葉を見かけたときは、
こうした背景を知っていると理解しやすいだろう。

●あとがき

 これからビール業界が面白くなりそうだ。
ビールの中でもプレミアム、スタンダード、バリューを
意識した商品が展開されつつある。
パイは限られているので、シェアの奪い合いは激しさを増すだろう。
どのメーカーが抜きに出るのか、すでに戦略は動き始めている。
注意深く見守ろう。