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日本酒の原料は米・水・米麹・酵母であるが、
その中で発酵の出発点となるのが米麹である。
米麹は麹菌の働きによって米のデンプンを糖へと分解し、
日本酒特有の並行複発酵を支える重要な役割を担う。
ここでは、麹菌の種類とその働きを整理し、
酒造りにおける「破精(はぜ)」の意味についてもわかりやすく解説する。
日本酒の原料として米や水はわかりやすいが、
米麹とはどのようなものなのかみていこう。
●麹とは?
そもそも麹とは何かというと、
カビの一種である麹菌を蒸米に繁殖させたものである。
麹菌の種類は様々あり、日本では焼酎に白麹、黒麹、黄麹が使われ、
味噌や醤油、そして日本酒にも黄麹が使われる。
・麹の働き
麹の役割は一言でいうと糖化である。
具体的には、米の持つデンプンを分解し、糖に変えることである。
糖は酵母によってアルコールに分解される。
つまり、アルコール生成に必要な前処理ということである。
糖化以外にもタンパク質や脂質の分解もしている。

●製麹(せいきく)
製麹とは米麹を作る重要な工程であり、2日ほどかけて行われる。
日本酒造りでは「一麹、二酛、三造り」と言われるほど、
麹作りが日本酒の出来を左右する。
・作業内容
- 引き込み :35℃前後に冷まされた蒸米を麹室(こうじむろ)に運ぶ
- 床(とこ)もみ:蒸米を床一面に広げ、麹菌を振りかける
- 切り返し:米同士がくっついて固まるのをほぐす
- 盛り :麹菌の繁殖時に熱を持つため、温度調整する
- 仲仕事 :かき混ぜて温度を均一にする
- 仕舞(しまい)仕事:再びかき混ぜて、余分な水分を飛ばす
- 出麹(でこうじ) :麹が理想の状態になったら麹室から出す
- 枯らし :余分な水分と熱を取るために一晩程寝かせる
・破精の状態
蒸米に麹菌の菌糸が張り巡らされ白く見える状態のことを破精(はぜ)という。
菌糸が米内部の深くまで食い込んでいるのが良い状態である。
破精の状態は2種類、総破精型と突き破精型がある。

・総破精型
蒸米の表面全体が菌糸に覆われ白っぽくなる。
内部にも深く菌糸が入り込んでいる状態。
糖化力、タンパク質分解力ともに強い。
濃醇でしっかりとした酒質になりやすい。
・突き破精型
蒸米の表面に斑に菌糸が見られる。
内部に向かってしっかり菌糸が入り込んでいる状態。
糖化力は強いが、タンパク分解力は弱め。
淡麗な酒質や吟醸酒向けに使われる。

●あとがき
麹菌は2006年に国菌に認定された。
麹菌は日本酒のみならず、多くの食品に使われている。
日本の伝統的な調味料である味噌や醤油も麹菌があってこそである。
発酵が解明されていない時代には、麹菌は発見されておらず、
まさに神の御業と言っても過言ではなかった。
その時代は麹菌が神であったと言えるかもしれない。




