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図解■ 梅酒の出荷量『梅酒ブームはどうなった?』

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文字数:約1100文字

 国民的果実酒として人気の梅酒(酒税法上は果実酒ではなくリキュールだが)。
コンビニやスーパーなどでもよく見かけるし、居酒屋メニューでも定番である。
近年はバリエーションも豊富で、選ぶ楽しみもある。
そんな梅酒の出荷量をまとめた。

●梅酒の出荷量 推移

 日本洋酒酒造組合の移出数量データと、
農林水産省の統計データをもとにまとめた。

梅酒の出荷量推移グラフ

 現在の梅酒出荷量は減少傾向にある。
2000年代は様々は種類の梅酒が商品化され、
さらに梅酒の健康効果によって、増加傾向にあった。
しかしピークは2011年の44,694kLで、その後減少が続き2023年は28,630kLである。
ピーク時よりも35%ほど減少している。

●梅酒用梅の出荷量 推移

 梅酒の出荷量が減少していることは、原料である梅と関係があるのだろうか。
原料となる梅のデータも見てみよう。

梅酒用梅の出荷量推移グラフ

 このデータは梅酒等飲料用の出荷量であるので、厳密には梅酒以外も含まれる。
梅酒のような減少傾向は原料梅に見られない
出荷量が大きく減る年があるが、おおむね増加や減少の傾向はなさそうである。

●梅酒の出荷量減少の原因は?

梅酒と原料梅の出荷量推移グラフ

 梅酒と原料梅の出荷量を合わせて表示した。
上記した通り、梅酒と原料梅の相関性は低い

 相関性が低い要因の一つとして、海外産の梅が使用されていることにある。
海外産の梅は主に梅干し用だが、梅酒にも使用されている。
相関性が低いことから、梅酒の出荷量が減少している原因として、
原料梅との関係は小さいといえる。

 では、何が原因かということになる。
月並みの理由として、全体の飲酒量の減少他のお酒との競合、などが挙げられる。

 ブームというものはピークの後、二通りに分かれる。
横ばいと、減少である。
そもそも梅酒ブームは、その健康効果に注目されたことが大きい
クエン酸、ポリフェノール、アロマなどが、
身体に良い影響を与えると経験的にわかっていたことが、
科学的に証明され始めたのである。

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 しかし梅酒はカロリーが高い
健康を気にする人の多くは高いカロリーを嫌う。
健康を意識して梅酒を飲み始めた人達が、カロリーを気にして飲まなくなった。
そしてブーム前の水準に戻ったということである。
(実際はそんな単純な話ではないのだが、、、)

 現在はカロリーを抑えた商品が販売されているが、梅酒商品のほんの一部にすぎない。
多くの商品が変わらずの作り方をしており、だからこそ美味しい

●あとがき

 健康も梅酒の魅力の一つである。
健康を入り口にして梅酒に触れた人達を、留められなかったのは残念である。
しかし、この増加と減少の20数年で梅酒の種類がたくさん増えた。
原料の梅や砂糖、お酒などにこだわる商品が出てきたことで、
梅酒市場の可能性が広がった。
梅酒のポテンシャルはまだまだ引き出せると期待している。



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